カテゴリ:大通美術館( 28 )


2017年 01月 19日

2543)「楢原武正展 ~墨のよる大地/開墾~」大通美術館 終了/1月10日(火)~1月15日(日)

楢原武正

 ~墨による大地/開墾~ 


 会場:ギャラリー大通美術館 
       大通西5丁目11・大五ビル 
       (南進一方通行の西側。)
     電話(011)231-1071

 会期:2017年1月10日(火)~1月15日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00
     (最終日は、~15:00まで。)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(1.15)



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 書道展だ!

 女けなし!男ど根性!

 こういう作品をゴチャゴチャ言っても始まらない。
 会場風景を別の角度から見ていただこう。

 名付けて「大地・開墾」。「女という大地」を「開墾」する男をご覧下さい。



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 (以下、敬称は省略させていただきます。)


 部屋中、どこを切り取っても「楢原武正」がいる!楢原楢原楢原、武正武正武正・・・圧巻だ。ただただ口をマングリして見るだけだ。

 それでは皆さんに、もう少しマングリと見ていただこう。時にはこういう押し出し張り出し突き倒し!一本!!も、いいものだ。



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 何だか梵語みたいだ。
 超俗っぽい書き殴りだ。
 だが、何て書いてあるかは理解できる。だから狂書ではない。
 カドカドして筋肉ばった書だ。たおやか、まろやか、わすれな草からは遙かに遠い。
 楢原武正いうところの大地・開墾だから。

 僕は楢原武正を知っている。札幌を代表する無骨・ストレートな現代美術家だ。だから、「書」で押し出してきても驚きはしない。
 だが、「楢原武正」という冠を知らないで、この会場の書を見たら何とする。田舎のおっちゃんがイカレて文字を書いて一人威張っている、と解しかねない。
 いや、そう解すべきだと思う。「書」だの「現代美術」だの、何だのと、地名度に支えられてこれらの文字を絵を遊びを理解するのは止めよう。
 どこのおっちゃんだか知らないが、大きな大きな大人の遊びをしていると!笑ってその逞しき自己顕示欲を賞賛しよう。



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by sakaidoori | 2017-01-19 07:19 | 大通美術館 | Comments(0)
2015年 02月 24日

2468)「第52回はしどい展 (北星学園女子中学高等学校美術部)」大通美術館 終了/2月10日(火)~2月15日(日)






第52回 はしどい 

北星学園女子中学高等学校・美術部 



 【出品者】
 1年:葛西響翔 松村楓愛
 2年:大井千華 廣永吉乃 
 3年:福士万穂 佐々木梨乃 
 4年:五十嵐千夏 五十嵐夕夏 ウィラーセタクルカウィヤ 茂見朋世 飯田キキ 大原麻結花 小村梨紗 高橋まりも 
 5年:小笹鈴奈 佐々木友香 高橋杏佳 田邊理瑚 山内野乃 川口琴愛 斉藤杏奈 山口彩紀 丹野花純 池田ルシィ理沙 石井優衣 今井真子
    
 

 会場:ギャラリー大通美術館 
       大通西5丁目11・大五ビル 
       (南進一方通行の西側。)
     電話(011)231-1071

 会期:2015年2月10日(火)~2月15日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00
     (最終日は、~15:00まで。)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(2.13)

 北星学園美術部の校外展です。参加者も多いので、個別作品を多く語ることは控えます。会場風景とかを多く載せます。


 この学校は大作にチャレンジするのが特徴です。高校生ならばとにかく100号を描く、上手いとか下手だとか、時間が有るの無いのは無視です。実際、大きさに力足らずで、未完じみた作品も目立つ。でも、「これで良いのだ!」が美術顧問氏の指導方針でしょう。「大きなキャンバスに、思い切って立ち向かえ」だ。



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 会場で会話した学生、お気に入りの作品を何点か語っていきます。



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   ↑:5年(高校2年相当)・丹野花純、「経過」。(F80あるいはF100?)


 手前に大胆な階段がある。その階段を薄塗りであっさりと処理している。そこが良い。もっとも、この階段に限らず概ね薄塗りアッサリ作品だ。気持ちを入れてそうなったのではない。時間足らず、熟慮足らず、とりあえず描き上げたとう作品だと思う。それであっても大いに気に入った。というか、この描き方をほめるわけではないが、もし入念に描き込み、物質感や存在感を表現したら、この絵のムードは台無しだろう。
 どこが良いのか。どこかウソっぽくて存在感の無さ、それでいて階段とか四角とか後ろ向きとか隙間とかが随所に象徴的に配されて、どこか不思議の国に入り込みそうなムードだ。本などの四角模様はレインボー風に七色模様で、階段の行き着く先には幸せがあるかも、といっているよう。

 階段、階段、あ~階段は昇るべきか下るべきか?階段の壁は単なる遮断物か別の世界への窓なのか?
 おそらく、描き手は僕の空想に驚くだろう。「私、そんな意味で描いてはいないわ、でも嬉しい」




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   ↑:左側、斉藤杏奈(5年)、「愛(未完成)」。
   ↑:右側、斉藤杏奈、「ポプラ並木」。


 斉藤杏奈、真っ直ぐで一途な学生だった。求めていることははっきりしている。「愛」だ。「愛」に飢えている。「見て見て、私を見て。私を愛して。私もアナタを愛するわ」。

 きっと他人と交わりたいのだろう。信頼関係で結ばれたいのだろう。
 そのことは誰でも思うことだ。手前勝手な僕だって望むことだ。望みはするが、ある程度のところで他人と一線を引いて、自分一人の時間を楽しんでいる。自分向けと他人向けの顔を安定的に使い分けをしている。
 斉藤杏奈は遺伝的難聴者だった。大きな声を出せば聞き取れるのだが、見ず知らずの世界でコミュニケートをとるのに苦労したことだろう。親しい人同士でも、ちょっと離れたところでの言葉は聞き取れないだろう。きっと不安だったろう。そういう「不安感」「不信感」が愛を求める絵画の動機なのだろう。

 上掲の2作、ゴッホ張りの印象主義(表現主義)絵画だ。色をストレートに信じて、筆力で学生自身のエネルギーを吐き出している。多分、エネルギー発散にはまだまだ不十分だろう。だが、周りには過剰な精神で絵画を吐き出している学生はいないから、絵の可能性に目覚めてはいないだろう。やっぱりまだまだ様子をうかがっている。もっともっと吐き出したらいいのに。




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   ↑:佐々木友香(5年)、「夜陰」。


 中央の四角はどんな意味があるのだろう?暗がりでの不気味な時間だから、「チョット不可解な空間」を表現したかったのか?墓場の象徴か?おそらく深い意味はないのだろう。時間足らずで思うとおりに描けなかったのだろう。

 絵としてはこの四角い部分を省略して、上半分の山模様だけの方が収まりは良さそう。青い部分がより神秘的に見えそう。
 絵としてはそちらの方が抜群に良いが、やはり失敗をしないと勉強にはならないだろう。小手先で良い絵にするよりも、未熟な自分を晒した方が画学生には栄養になると思う。

 ホラー気分を出したかったと佐々木友香は言っていた。ガンバレガンバレ佐々木友香!





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   ↑:石井優衣(5年)、「なく女」。



 ステンドグラスのように敷き詰められた背景、これが油彩の感覚なのだろう。空間処理、背景処理ではなく、画面全部を均等に絵にする姿勢、そこが良いと思った。





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   ↑:山口彩紀(5年)、「虚ろ」。


 確かに「虚ろ」的な虚無表現だ。しかし、窓や差し込む光は夢と希望を表現しているのだろう。






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   ↑:高橋まりも(4年)、「庭の街」。



 よく細かくいろんな表現をしたものだ。何かを描くというよりも、絵を楽しんでいるみたい。色形、直線曲線、人物に都会・・・なんでもありの「高橋まりも・庭」だ。




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   ↑:山内野乃(5年)、「宇宙」。



 積み木風の世界は少し繊細すぎて寂しいが、色使いがお気に入り。色だけの「宇宙」も充分描けそうな学生だ。




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   ↑:石井優衣(5年)、「生命の樹」。



 泳ぐような線が目を惹く。線を生かすために背景はアッサリ白模様。それだけでは面白くないから思案する人物を入れて線模様を引き立てている。





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   ↑:飯田キキ(4年)、「戦争」。



 「戦争」とは物騒な言葉だが、絵の中では「戦争」大いに結構だ。色も形も物も生き物たちも思考も、全ては入り乱れる。乱れることが楽しい!絵の中だ、乱闘だ、殺し合いだ、祭だ、戦争だ。

by sakaidoori | 2015-02-24 23:33 | 大通美術館 | Comments(0)
2014年 07月 04日

2395)「第8回 村井貴久子絵画展」 大通美術館 終了/6月17日(火)~6月22日(日)

 


 
第8回 村井貴久子絵画展   


       
 会場:大通美術館 
    大通西5丁目11・大五ビル 
    (南進一方通行の西側。)
    電話(011)231-1071

 会期:2014年6月17日(火)~6月22日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00
      (最終日は、~16:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(6.22)


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 定まった絵画造形や表現様式で、力強くグイグイと主張している。大きな円、水平線としての横線、描きたい世界を大きく描く、そういう安定したバックボーンだ。街並みなどを細かく描いていても、輪郭がはっきりいしていて、紛れはない。強い絵画だが、発散・爆発型ではなく、収縮的で完結的な世界だ、明るい理想郷だ。



 ところが、次の作品は細やかで作品群の中ではもっとも変調をきたしている。



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   ↑:「夕闇」・F50。




 どこが変かというと、決めきれない暗さがある。闇夜を見つめる眼差しだ。おそらく、女史は描くことに迷いの少ないタイプだと思う。しかし、迷いを感じる絵だ。「なぜ?」という疑問と同時に、「決断画家なのに、やっぱり迷うのだな?」と安心もした。その不安定な作品があるからこそ個展表現として幅が生まれていると思う。




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   ↑:(上掲の部分図。)



 樹林なのだが、地中の根っ子のように深く暗く絡むようにして大地に浸透していく。おそらく、樹にしろ根っ子にしろ、命の母体である大地と交わっているのだろう。というか、全編、生命の交歓がモチーフの作家なのだが、上掲はどこか沈鬱で葬送の前触れになっている。だが、いかに明るく前向きであっても、この押しつけるような粘着的強さの中に突然表に出てくる「暗さ」が秘められているのだろう。

 絵はただ明るいよりも、暗さもあったほうが面白い。「正―反」という表現で画面が拡がる。「三角関係」があれば立体的にもなるだろう。画家は構図とか色合いの配置とかで意図的に工夫する。上掲の作品は、無意識の産物だと思う。本質的明暗を使いこなすほど器用な画家ではないと思う。だから、傑作が生まれたと思う。






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 この一群も暗い。僕は暗い絵は好きだが、女史は好きではないだろう。

 やはり、描き足すとのことだ。身辺にいろんな事があったとのことだ。僕にはこれはこれで良いと思った。描き加えるぐらいならば、新しく始めた方が良い。「余生」と言われる年齢だ。過去は振り向かないで、新しい作品にエネルギーを注いではと思う。第一、村井喜久子的ではないが良い作品だから。



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   ↑:「夜の帳」・F50 。



 特に上掲作品は変調だ。健全な都会の帳ではない。「崩れ」があり、その流れの中で這い上がり、絵画造形を強く保とうという意志を感じる。







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   ↑:「向日葵」・F40 。




 女史らしい向日葵だ。ノーテンキにならず、爆発を押さえ、花々の密集のなかで内に内に固まり、大きな顔で世間様に「生きているんだ」ぞとつぶやきあっている。






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   ↑:「静寂」・F30。





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 この大きい心!良いですね!。





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   ↑:「街・春」・F40。






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   ↑:「屋並」・F50。





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   ↑:「黄昏」・F40。






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by sakaidoori | 2014-07-04 09:23 | 大通美術館 | Comments(0)
2014年 01月 27日

2325)「楢原武正展 ~黒い種子をうえる 大地/開墾〈2014-1〉~」 大通美術館 終了1月14日(火)~1月26日(日)

  
楢原武正 

   黒い種子をうえる 大地/開墾 〈2014-1  


       
 会場:大通美術館 
    大通西5丁目11・大五ビル 
    (南進一方通行の西側。)
    電話(011)231-1071

 会期:2014年1月14日(火)~1月26日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00
      (最終日は、~16:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(1.25)


 言葉は必要ないでしょう。とにかく楢原パワー舞台をご覧下さい。




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 パワーに気後れしてブレてしまった。
 右側から載せていきます。




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 (以下、敬称は省略させていただきます。)


 かつて僕はある美術サイトに氏のことを投稿した事がある。その時、「楢原武正は札幌の至宝だ」と書いた。
 今展、またまたやってくれた。この一所懸命さ、直向きな姿勢、一徹なまでの真一文字の世界は、ただただため息をして立ち尽くし、見入るだけだ。


 1942年十勝広尾町出身。だからか、いつもいつも「大地/開墾」だ。十勝野開墾か?齢七十を超された。開墾を通り越して、大地の地下の真っ直中だ。黄泉とも胎内回帰とも区別しがたき楢原・唯我独尊だ。

 この古武士の姿、「今の時代には過ぎ去った表現様式だ!」と一線を画する人がいるかもしれない。仕方がない。一々の表現結果がいかように判断されようとも、時代の潮流から外れようとも、そんなことは全く関係ない。「全く関係ない」という姿勢を僕らは貫けれるか?無理だ。氏とて同じだろう。それでも「これでもか!これでもか!」と怨念、執念、阿修羅のごとくにエネルギーを何かにぶっつけ続けている。作品を通しての「人と人との見つめ合い、関わり合う交流」などは更々眼中になく、ひたすら土中に化することによって天高く飛翔する楢原武正だ。墓場は土にも宙(そら)にもある。まだまだ眠るわけにはいかない。馬鹿一の如く耕すのみだ。





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 まるで大地を剥ぎ取ったような作品だ。充実の壁画だ。





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 柴橋伴夫氏が語る楢原武正論を、作家が書いたもの。







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by sakaidoori | 2014-01-27 22:08 | 大通美術館 | Comments(0)
2013年 03月 02日

1949)「札幌市立大デザイン学部デザイン研究科 卒業修了研究展2013」大通美術館 2月26日(火)~3月3日(日)



札幌市立大学 
デザイン学部・デザイン研究科

   卒業修了研究展2013
   


◎ 選抜展 

 会場:ギャラリー大通美術館 
       大通西5丁目11・大五ビル 
       (南進一方通行の西側。)
     電話(011)231-1071

 会期:2013年2月26日(火)~3月3日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00
     (最終日は、~18:00まで) 

◎ 本展

 会場:当大学
 期間:3月6日~3月19日

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(3.2)

 会場風景中心に進みます。


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     ↑:(奥の左側が入り口。)


 以下、進行方向にそって載せます。


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 大学デザイン学部の、空間デザイン・製品デザイン・コンテンツデザイン・メディアデザイン、4コースと大学院デザイン研究科の空間デザイン・製品デザイン・コンテンツ メディアデザイン、の3分野から27名の作品展。

 自分の作品の文章説明能力と、ビジュアル的な視覚能力の両立でそれぞれの作品はなりったている。だから、作品に説明というか、学生の意図を文章化していて、やたらと文字の多い展覧会だ。「説明し過ぎ」という面は確かにあるが、研究学生ということで我慢して見るしかない。「研究発表展」なのです。これにスピーチ能力を備えれば立派な国際人でしょう。

 ただ、視覚表現の場合、言語による媒体を否定する場合があるから、いつもいつも「説明するぞ」という姿勢は問題があるだろう。要は、誰に対しても自己の作品をしっかりと文章化したり言語表現ができることだ。しかもアドリブをまじえながら。



 自分好みの作品に出会えた。それを報告します。


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          ↑:メディアデザイン・二宮翔平、「メディアの速度」。


 おだやかな日常の顔と、怒った時の感情過多の顔を、三角錐の左右に貼り合わせたもの。右から見れば「穏やかな顔」、左から見れば「怒った顔」、そして正面から見れば「不気味なお化け顔」だ。
 人間の二面性と化け物性を表現したものだ。しかもこの大きさ!!表現内容も驚きだが、大きく見せる根性にはアッパレと言うしかない。今時の学生にしてはありえない大きさだし、こういう人間追求型も珍しい。いや、この作品が10枚あれば、どこの美術館に展示しても恥ずかしくない。シンプル・イズ・ワンダフルの格好の見本だ。

 この醜い顔をパロディーと見るかもしれない。そうではないと思う。作家がどこまで人間の二重性を追求しているかは知らないが、「人間、この不思議な物」に多大な興味を持っているのは間違いない。写真が好きで、人の表情が好きで、人を色々撮っていたら、その不気味な表情に人間自体に魅入られたのだろう。発表する喜びもつかんでしまった。「美術表現(芸術・アート)」というヤクを知ったのだ。

 僕はこのバカでかい作品を札幌のビルにいくつも飾りたい。恋人同士が見ては話の種が増えるだろう。女の子達はキャッキャ言って笑い転がるかもしれない。オバチャマ達は、「イヤーね」と顔がよがむかもしれない。僕のような人間が見たら、発狂して頭をビルにたたきつけるかもしれない。


 あとは二宮翔平君が、「現代美術作家」になりたいかどうかだ。こんなアホなことを少なくとも10年は続ける意志があるかどうかだ。金はかかるし、時間も相当とられる。何より、人間ばかり考えていると、「苦しきことのみ多かりけり」になるかもしれない。それでも、ヤクを知ってしまったのだ。アドレナリンがぼこぼこと二宮君の脳を興奮させるだろう。継続を期待しよう。


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 何て見にくい人達だろう。あの可愛き青年達の無惨なこの姿。こんな姿になりはてた実物の青年男女の皆様、文句も言わず、二宮翔平君の美術挑戦に協力してくれてありがとう。



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 用意周到に本も用意している。真面目顔に恐い顔を左右に載せてある。会場の顔があまりに醜いので、極々平凡に収まっている顔を載せてみました。写真の出来映えもすこぶるよろしい。



   ※※※※※※※※※※


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     ↑:メディア デザインコース・光野有美、「現代日本における性愛文化の研究」。


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 「性愛研究」、刺激的な論考なのに、ビジュアル面が弱い。何を遠慮しているのだろう。もっともっと大胆にと思うのだが。「見た目」でわくわくする世界を案出して欲しかった。何のためのビジュアル提示なのか?「性愛」、ヨダレの垂れるテーマだと思うのだが・・・。


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     ↑:メディアデザイン・内海智美、「girl and quake」。




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     ↑:メディアデザイン・松本沙緒里、「パラレルワールド化した札幌を舞台とした漫画の制作」。


 彼女の場合は、右下に用意された漫画本一冊があれば良いのだろう。実際、この漫画本を読まれた方は随分と楽しんでいる。
 しかし、折角壁で漫画を見せる機会を得たのだ。もっと工夫が欲しかった。例えば、大判の白紙を貼って、一気にアドリブ漫画を続けるとか、主人公の特大顔を描いてみるとか、お客さんを即興で漫画的に描くとか・・・、漫画だもの、もっともっっと楽しむ姿勢が欲しかった。  
 当日、小柄で親しみやすい作家の松本君が其処にいた。で、その辺の僕の感想を伝えたところ、本展ではアレンジをしましょうと行ってくれた。期待しよう。


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     ↑:製品デザイン・若生大地、「参加型作品『Factory』、『ウェーブ』、「観覧車』」。


 ハンドルをグルグル回せば、機械仕掛けでそれぞれがそれぞれの動きを演じる。なかなか成功で面白く、青年の高級オモチャです。


     ※※※※※※※※※※

 この展覧会は大学内での本展も開かれます。なかなか大学には行く機会がないので、行こうと思っています。もう一度「市立大学卒展」を掲載予定なので、本日はこれまで。

by sakaidoori | 2013-03-02 23:58 | 大通美術館 | Comments(0)
2012年 11月 11日

1866)「(第41回北海道書道連盟展より) 樋口雅山房・『無言言』」大通美術館 終了11月6日(火)~11月11日(日)

  
第41回 北海道書道連盟展 より、

    樋口雅山房作、「無言言」 

       
 会場:大通美術館 
    大通西5丁目11・大五ビル 
    (南進一方通行の西側。)
    電話(011)231-1071

 会期:2012年11月6日(火)~11月11日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(11.9)

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     ↑:(会場風景)


 「北海道書道連盟展」、北海道書道界の各団体代表者級が網羅された書道展だ。一人一作で大きさも制約されてはいるが、現在の北海道書道の実力が揃ったといってもいいのだろう。
 その中で樋口雅山房の作だけを語りたい。氏の所属会名は「北海道墨人展運営委員会」となっている。単に「北海道墨人会」でいいと思うのだが、一団体一人という制約なのだろうか?ややこしい会名での出品だ。


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               ↑:樋口雅山房、「無言言」。


 生臭坊主の禅問答のような作品だ。実際、「無言言」とは、禅問答以外の何ものでもなさそうだ。きっとある高僧の言葉だろう。
 言葉は良いが、絵はひどい。お世辞にも上手とはいえない。下手も上手さという文人の遊び心だ。
 冗談で煙に巻く坊主心か?人生を高踏的にとらえた洒脱な作品と解すべきか?

 僕は樋口雅山房の「怒り」と理解したい。「挑発」と理解したい。誰に対する「怒り」?
 まず、自分自身にだろう。こういう作品でしか世に問えない自分にだ。
 そして、書道界全般に対する怒りだ。こういう道内代表書家が集う展覧会に、あえて「ふざけた」とも思われる作品を出品するのだ。この場に一石を投じたいのだ。
 「オレの書を無視するな!ふざけた作品と思うならば、あざ笑ってくれ給え。大声で笑ってくれ給え。愛すべき書道家達よ」
 だが、きっと氏の作品を、その心をサラリとかわして作品を後にするだろう。その姿勢に氏は「怒り」を感じているのだ。老いに鞭打って、自己を鼓舞している。それはピエロのような振る舞いだ。書道界のドン・キ・ホーテだ。

 「無言言」、横線が小さな兵隊さんのように並んでいる。弱い兵隊だ。「口」の字が絵の顔と重なって笑っている。泣き笑いだ。
 だが、「無」の字は素人目にも迫力があった。墨の濃淡が力強くうねっていて力感があった。だが、ただ良い書を見せることに氏は悩んでもいるのだろう。「七〇歳にして不惑」の心境からは限りなき遠い。「惑、惑」の樋口雅山房である。



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by sakaidoori | 2012-11-11 23:47 | 大通美術館 | Comments(0)
2012年 04月 07日

1691)「楢原武正・展」 大通美術館 終了・1月10日(火)~1月15日(日)

  
○ 大地/開墾  墨による 楢原武正・展

       
 会場:大通美術館 
    大通西5丁目11・大五ビル 
    (南進一方通行の西側。)
    電話(011)231-1071

 会期:2012年1月10日(火)~1月15日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00
      (最終日は、~17:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(1.10)

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 今年の新春の楢原武正・個展です。遅い記事になってしまいました。しかも、全体風景はピンボケです。他に良い写真がないので、やむなくの利用です。マチエールを問う展覧会ではないので、ムードは伝わるとは思いますが、作家にも申し訳なく、残念なことです。


 「壁面3m×30mの墨によるインスタレーションを発表します。
 ガムシャラに走り続けて古希を迎え更に新たな芸術の道を邁進いたします」
   (DMの作家の言葉から。)


 それにしても元気元気元気の大作だ。「ただガムシャラな描き殴りではないか!」と言われるかもしれない。
 まさしく「そうだ」と、応えたい。今時、これほどのエネルギーを壁に捧げる人がいるだろうか?

 大地開墾をライフワークにされている。もう随分と掘り起こしたはずだ。それがDMに言う「ガムシャラに走り続けて」なのだろう。そして、この姿は、「まだまだ走り続けるというぞー!!」という宣言だ。

 それにしてもこの宣言、美しい!厳かでもある。描き殴りと言って、笑いなどでてこない。ぐっと作品の力と向き合うだけだ。作品を知ったからには、こちらもたじろぐわけにはいかない。墨の海で溺れるわけにはいかない。闇夜の宙で、刃くわえて進む先を見届けなくてはならない。もしかしたら意気込みに反して、黒に作家は沈んでいくかもしれない。あるいは平坦な青き海であぐらをかくかもしれない。立ち進むか倒れるか沈むか、古希を迎えた「男・楢原武正」の余命を見定めよう。


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 まるで梵字だ。南無阿弥陀仏か南無妙法連華経か?あるいはナラハラダーナラハラダーか?大音声も響いている。


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by sakaidoori | 2012-04-07 06:06 | 大通美術館 | Comments(0)
2010年 07月 28日

1316) 大通美術館 「久守浩司・夕子 二人展 水彩と絵付け陶芸」 終了・7月20日(火)~7月25日(日)


○ 久守浩司・夕子 二人展
    水彩と絵付け陶芸


 会場:大通美術館 
    大通西5丁目11・大五ビル 
    (南進一方通行の西側。)
    電話(011)231-1071

 会期:2010年7月20日(火)~7月25日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00
     (最終日は、~17:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(7・24)

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 久守絵画教室を主宰されている久守浩司さん、その奥さんの夕子さんの2人展です。水彩画と陶です。
 愛すべき久守夕子・器を中心に報告します。


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 真っ赤か、真っ赤か、そんな器たちだ。
 赤の、その色に深みがあるとか、綺麗な赤だとか、心の燃える情念を再現しているとか、美辞麗句を献辞するような、そんな赤ではない。
 それはあまりに普通の赤で、赤茶碗というには部分的な赤で、その普通の赤さ加減が眩しい。余りに余りに素人っぽい図柄に調和して、赤が大きく大きく見える。
 「自由さ」が信条だ。今回はさわやかなメルヘンが中心だ。日用雑貨の器に絵付けしているから、物語も限られているだろう。陶板に、小道具の集合世界へと、もっともっと大きく夢見るのだろう。


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 次は久守浩司さんの水彩画です。気に入った個別作品を載せます。

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     ↑:「スペイン風景(カダケス)」。

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     ↑:左側、「スペイン風景(バルセロナ)」。右側、「スペイン風景(サラマンカ)」。

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     ↑:「スペイン風景(カサレス)」。

 ヨーロッパ旅行中の風景を水彩で描いたもの。
 色を豊富に、ボカシを多用し、画面中央にも飛沫のように装飾を施し、水彩特有の「紙色の白」さえも白で塗り、華やかさを強調している。油彩的な感じだ。浮かぶ舟も、行き交う人達も旅情を高めてくれる。
 旅路での明るいロマン・・・一度はヨーロッパに、スペインに行きたいものだ。

by sakaidoori | 2010-07-28 11:26 | 大通美術館 | Comments(0)
2010年 04月 05日

1253) 大通美術館 「第7回 カルチュレ 2010展(女性4人展)」 終了・3月30日(火)~4月4日(日)

○ 第7回  カルチュレ 2010展

 会場:大通美術館 
    大通西5丁目11・大五ビル 
    (南進一方通行の西側。)
    電話(011)231-1071

 会期:2010年3月30日(火)~4月4日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00
     (最終日は、~17:00まで)

 【出品者】 
 八木野蓉子 能登智子 栗城陽子 加賀谷智子 

ーーーーーーーーーーーーーーーー(4・4)

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 昨年までは、能登智子さん以外の3人展でした。栗城陽子さんが転居されたので、交代のような形で能登さんが参加されたのですが、やっぱり栗城さんも参加することになっての4人展です。


 その栗城陽子さんは意外なことに普通の静物画とおとなしい風景画の出品。昨年はシャープな心象風景画を出していたので、その後の変化を楽しみにしていたので、少し残念な感じ。

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     ↑:栗城陽子

 昨年は絵が画けれなかったとのことです。理由は分かりませんが、こうしてグループ展があるから、「画きたい、画かねばならぬ」と自分を叱咤激励しての参加でしょう。そして、来年はしっかりしたのを描くと仰っていた。遠隔地からの参加です。綺麗な額装にこだわらない、額無し作品でも良いではないですか。楽しみにしています。

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     ↑:栗城陽子

 ところで、上掲の風景画です。落ち着いた楽しさの伝わる作品です。栗城さんは器用というか、描けばそこそこ仕上げることのできるタイプです。僕は、この「そこそこ」というところを「もっともっと」という意識になればと思う。もっともっと樹が騒ぐ、曲がった地平線が可笑しさがこみ上げてくるようなラインに変貌する、空は静かな中にもさえずりが聞こえてきそうな色が散りばめられる、人にも見える小さい縦線ラインがピョコンピョコンと踊り出しそう・・・。今の言葉は僕の単なる夢ですが、栗城ドリームを広げて欲しい。


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     ↑:八木野蓉子、「かたち・シリーズ」。

 八木野蓉子さんには驚いてしまった。迷うことなく、自分がここにいるという強い自己宣言にもなっている。
 画家は年配女性です。人形画を見たことがあるので、具象が出発だと思う。近年は画かれる物にこだわらずに、更にコラージュにもチャレンジして画家心を広げることにトライしていた。新しいことを楽しんではいたが、絵全体の気分は線が細いというか、少しおっかなびっくりな処を感じていた。
 それがどうしたことか、ひつこく強く絵を描いている。その典型が下の絵だ。

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     ↑:八木野蓉子、「かたち Ⅳ」。

 とにかく手抜きの無い絵だ。グレーの背景も、洋画らしいスタンスで、緩むことなく描き重ねている。画題は三角や四角という抽象画スタイルだが、基本的にはこれらは三角という「物」、四角という「物」だと思っている。中央の青色の四角は自画像だろう。実景にはこだわらないが、静物画的な物・者ある世界だ。その物一つ一つに軽重なく目配せしている。この揺るぎない強さはどこからきたのだろう?
 もっとも、絵としては画家の強いスタイルに疲れるところもあるのは事実だ。はみ出たラインもなくて、きちっとし過ぎてもいる。抜けたところが無いので、余韻も生まれてはいない。だが、この絵の魅力は「オレがオレが」と、自己主張しているところにあると思う。それを好ましく見るかどうかは作品の問題ではなくて、見る方の好みだろう。

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     ↑:加賀谷智子、「マドベのハナ・シリーズ」。

 良さは大胆さだと思う。欠点はコンパクトにまとめすぎなのだろう。と言うよりも、画家の遊び心を花開かせるには、このサイズでは小さすぎると思う。だから、いろんなリズムを挿入して、しかも過不足無く見せようとすると、「遊びすぎ」、あるいは「作りすぎ」「まとめすぎ」に見えるのだと思う。
 30号ぐらいの大きさで、線や面を遊ばせたら。きっと初めはぎこちないでしょうが、もっと伸び伸びと可能性が拡がると思う。

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     ↑:加賀谷智子、「マドベのハナ 10-D」。

 刺激的な作品だ。赤が眩しい。白が大胆かつ鋭い。白という刃が、浮き出て目に突き刺すようだ。


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     ↑:能登智子、「深音」。

 新道展の会友。額装の仕方や、絵の勢いが図太いというか、他の方とは明らかに違う。公募展で大きな絵を手がけているからだろう。
 絵は感情表現の要素が強いと思う。他の3名が、「感情をどこまで出したらいいのだろう」というブレの中で今日の姿があると思う。その点、能登智子さんの場合は、「絵を描いちゃった。どこまで感情が表現されただろうか?」という逆のスタンスを感じる。そこが、他の方との異質感の原因だろう。

 ちゃんと自己表白していると思う。
 公募展では「目立つ」ということが基準の一つだと思う。個性であれ型であれ目立つことが大事だ。今展の能登さんは充分目立っている。それは公募展的目立ちでもある。こういう非公募展作家の目立たない静かな輝きが、この絵に微妙な影として挿入されればもっと面白いと思えた。

by sakaidoori | 2010-04-05 12:58 | 大通美術館 | Comments(0)
2010年 03月 31日

1247) 大通美術館 「鈴木喜景・油彩展 ー版画・油彩ー」 終了・3月23日(火)~3月28日(日)

○ 鈴木喜景・油彩展
     ー版画・油彩ー

       
 会場:大通美術館 C室
    大通西5丁目11・大五ビル 
    (南進一方通行の西側。)
    電話(011)231-1071

 会期:2010年3月23日(火)~3月28日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00
     (最終日は、~17:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(3・25)

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 鈴木喜景さんは、明るく楽しい油彩画で、自己流の絵画世界を広げているベテラン作家です。
 定年後に本格的に描き始めたようで、自分の気持ちを絵にぶっつける、絵から元気な声をもらって、今度は落ち着いて絵を作っていく、どこまで元気にオーバーに描くか、にぎやかさの中にどこまで省略していくか・・・そんな感じで鈴木ワールドを見ています。
 根幹は生命力とロマンティシズムではないでしょうか。男のロマンですから、当然「女性」が多く登場します。妖艶な女性というよりも、どこか田舎っぽくて郷愁ただよう娘達です。そういう娘達が大人になった時の姿です。
 生命力の対象は画題の全てと言っていいでしょう。描かれた対象がどれだけエネルギーを保っているかが勝負です。構図はその生命力讃歌のバックボーンです。「男○○歳、鈴木喜景」の根性が構図と言い換えてもいいでしょう。

 今回の特徴は色が満遍なく拡がって落ち着いた感じです。華やかさと拡がりと落ち着きを感じました。
 何かを惹き立たせる構図ですが、全体で踊らせるという雰囲気が多くでてきたようです。もっとも、氏はクローズ・アップ手法を得意としています。メインの画題に視点を置いたこれ見よがし的構図なのですが、見ていて違和感が薄くなったと言ったほうがいいかもしれない。今までよりも絵全体に目配せが行き渡っている感じです。

 
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     ↑:「豊漁の海」・P100 2006年。

 今展一の力作。2006年制作ですからわずかに古い作品とも言えるでしょう。一つの頂点だと思う。
 真ん中の魚は誇張されて大きく描かれていますが、だからといってこの絵の中心はここにはない。漁に絡んだ人の営みにあると思う。一心に仕分けしているおばさん達、仕分けされる魚達、魚に囲まれた漁船、漁船も形を変えた魚のよう、漁師はおどけている、その船の後ろは赤い海、海が燃えている、燃えている海に孤船が浮かぶ・・・全てが「生命力」を謳歌している。


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          ↑:「赤い山」・F20。


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          ↑:「初夏の風」・F15 2009年。

 図太そうな娘さんの隣にバラの入った花瓶が異様に大きく描かれている。この花の立ち姿は自画像でしょう。


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          ↑:「魚」・変F40。

 ただただ笑っている魚です。それだけの絵です。しかもそれなりに大きい。この絵が上手いかどうかなどはどうでもいいと思う。こういう絵を描く人、描けれるひとが「鈴木喜景」です。

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     ↑:左から、「雪祭りの準備」・F15、「張碓峠」・2010年。


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     ↑:版画。


 小品ですが版画も沢山並んでいます。木版画でしょう。鈴木喜景さんは基本的には直截な人で「力」を押し出すタイプです。木版の刻む行為の直接的な力強さがマッチしているのでしょう。

by sakaidoori | 2010-03-31 12:46 | 大通美術館 | Comments(0)