栄通記

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カテゴリ:af( 21 )


2012年 03月 08日

1650) 「栗田健・絵画展 『Portrait』」 af 終了・2月21日(火)~3月5日(月)

   
○ 栗田健・絵画展 
     『Portrait



 会場:札幌アリアンス・フランセーズ
      中央区南2条西5・南2西5ビル2F
       (入口は西向き。
       エレベーターでのみ2階へ。)
      電話(011)261-2771 
 
 会期:2012年2月21日(火)~3月5日(月)
 休み:日曜日・祝日(定休日)
 時間:10:00~19:00
     (月曜日は、12:00~19:00。土曜日は、10:00~18:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーー(3.5)

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 作品は2部構成だ。黒い線描の似顔絵と絵画群だ。


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 今展は似顔絵が面白い。ほとんどはモデルを目の当たりにした早描きなのだが、いろんな運筆がある。踊るような輪郭線、空間を切り刻むような線、落書き風の意味不明な線描などなど、多くの作品を一気に視野にできる。小さい絵の集合なのだが、全体が大きなうねりとして目に迫ってきて、思いのほか迫力がある。

 私好みのみですが、大きく載せます。

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 ロマン、激情と、モデルにより、自分の調子により、いろんな線を愛用している。「人物が空間から涌き上がる」、というイメージみたいだ。先走って言えば、「湧き出る」が栗田絵画の基本だと思っている。


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 これらは、ライブにおける臨場感を表現したとのこと。暗闇での絵描きの絵メモだ。意味不明ではあるが、他の線描画の中にあって、リズムやアクセントになっている。画家の隠れた表現を見るのには良い材料だ。


 何かの展覧会で、「全てはデッサンから生まれる」という言葉を読んだ。それにならえば、「全ては線から始まる」と言いたくなる。太い線、細い線、弱い線、強い線、神経質であったり悩みながらの走り描き、感情直裁型や感情拒否型の構築物などなど、分類すればキリがない。概ね発表以前の場合が多いから、上手い下手をこれらの線に問うのは無意味だ。絵画の楽しみからは最も遠い。
 線からある程度の距離をおいたものが絵画だろう。もちろん、線=絵画という表現者もいる。が、完全に線=絵画という作家はいない。なぜなら、線は空間を生むが、絵画は空間を初めから含んでいるからだ。空間を前提にして絵画は成り立つと思っている。


 さて、空間表現に留意しながら栗田絵画を見て下さい。

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          ↑:「ポートレート 12-1」・水彩。

 パッチリと目を見開いて、そこにいる。
 氏はイメージ画家だと思う。だが、茫洋としたイメージに身を任せる感じではない。この目に現れたように、強い視線で絵画世界を見つめ、強くイメージを立ち上げたいという願望の持ち主だと思う。


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     ↑:(左から)「ポートレート 12-2」・水彩 水彩紙、「写真 12-2」・水彩 水彩紙。

 「写真」というタイトルが象徴的だ。暗室でいろいろと加工されて写真が生まれる。「この作品は『栗田健』によって加工された結果だ」と、いいたいのだろう。紙(支持体)に、見えないものが見えるように涌き上がってきた。


 会場全体を見てもわかるように、少数の作品が沢山あってうるさいくらいだ。壁全体がリズムやハーモニーを生み、音楽になっていればいいのだ。氏のロマン主義も良い味付けになっているだろう。
 湧き出るイメージの深みと幅、しかも「強くあれ」という強情さ・信念をもを楽しむことができた。


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by sakaidoori | 2012-03-08 00:03 | af | Comments(7)
2009年 08月 23日

1079) af 「佐藤準・写真展 『sapporo.sora』」 8月18日(火)~8月29日(土)

○ 佐藤準・写真展
   『sapporo.sora』


 会場:札幌アリアンス・フランセーズ
    中央区南2条西5・南2西5ビル2F
     (入口は西向き。
      エレベーターでのみ2階へ。)
    電話(011)261-2771 
 
 会期:2009年8月18日(火)~8月29日(土)
 休み:日曜日・祝日(定休日)
 時間:10:00~19:00
    (土曜日は、~18:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーー(8・21)

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 「札幌の空」の写真展。(以下、敬称は省略。)

 とにかく空が綺麗だ。空そのもの色、雲に写る色、それらが七色になって壁を埋めている。写真の紙質は光沢を避けてマット質、色が沈んで目に優しい。
 一枚一枚の作品の色の濃淡も気になるが、やはり壁全体の強い色調に圧倒される。だから、今展は全体で見るものだ。その後から個別作品を通して撮影者の拘りに気づくことになる。

 「札幌の街だろうか?都会の空がこんなに綺麗だなんて!」
 無意識に都会の作品として見てしまう。ほとんどの作品が都会の影を残しているからだ。僕にはどんな空でも構わないのだが、都会の空に拘る撮影者の目も好ましい。

 個別作品にタイトルは無い。総合タイトルは「sapporo,sora」、「サッポロのソラ」だ。
 「背景に田園風景を見るな!広大な自然の一部として見るな!」、「都会の『風景』として、空を再確認しよう」、あるいは「僕らの札幌にはこんな素敵な空なんだ」、そんな声を感じる。


 都会の風景に思う。
 街の空を人工物に邪魔されずに見るのは困難だ。真上のみを仰ぎ見れば別だが、普段の視線には必ずそれらがある。人は真上のみばかりを見ては生きてはいけない。
 水平線に目をやれば電線が幾重にも走っている。多くのアマチュア写真家が空に電柱があり、電線を走らせている風景を撮っている。その直線や線に囲まれた世界に愛着を感じてのものだろうが、「直線」ほど人工的なものはない。それらの写真は都会人の心を写しているのだ。

 撮影者・佐藤準は決して個人の心象風景として空を撮ってはいない。第一の動機は空としての自然の美しさだろう。同時に「札幌」という固有名詞付きの「空」が大事なのだ。

 「札幌の空」と「どこにでもある空」。
 きつく「空」を限定して見る目は現代人の病かもしれない。だが、「空一般」などは存在しないかもしれない。その人なりの「空」があって、それから無意識的に「空一般」を語り合っているのかもしれない。それはあたりまえのことだろ。あたりまえなことを佐藤準は写真でしているのだ。あまりにも個性豊かな「札幌の七色の空」で。


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by sakaidoori | 2009-08-23 10:31 | af | Comments(0)
2009年 08月 10日

1063) af 「ステファン・エッテ写真展 『蝶の夢』」 終了・7月7日(火)~8月8日(土)

○ ステファン・エッテ写真展
    『蝶の夢』


 会場:札幌アリアンス・フランセーズ
    中央区南2条西5・南2西5ビル2F
     (入口は西向き。
      エレベーターでのみ2階へ。)
    電話(011)261-2771 
 
 会期:2009年7月7日(火)~8月8日(土)
 休み:日曜日・祝日(定休日)
 時間:10:00~19:00
    (土曜日は、~18:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーー(8・8)

 最終日の最後の時間近くに見に行く。
 妻の方が先に見ていた。彼女は関心が薄かった。それで見に行くのがついつい遅くなったのだが、妻の気分に反してなかなかマニアックな写真展だった。男のコレクション的美学に、女である妻は興がのらなかったのだろう。


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   ・1968年1月 フランス生まれ
   ・2005年?  37歳の時に写真と出会う
              1年間、撮影のための工夫を重ねる。
              以後、各種賞を授与

   ○ 「男の非性的美学

 とにかく綺麗だ。西洋人にしては珍しく余白の白を生かした蝶の見せ方だ。蝶がほんのわずかばかりの小枝や草だけで遊んでいる姿。赤い落款も押されてあり、日本美を研究しての表現になっている。

 不思議だ。全くセクシャルなところが無い。男が花や蝶を撮れば、肉感的な性が出てくるのに。理想美という形で、性の自己願望を視覚化するものなのに。

 撮影は自然の中で撮られたものではないだろう。蝶の収集から始まり、非常に人工的な環境の中で撮れれたものだろう。撮影はその集大成ではなかろうか。一連の蝶との関わりが撮影者にとってはかけがいのないものだろう。形を代えたコレクションだおる。

 おそらく、コレクションという行為の中に撮影者の性的なものが充満しているのだろう。そして、見せる時は標本という無味乾燥なセッティングを超えて、愛くるしさや可愛さで表現する。「標本」という形態いかに性的なものかを撮影者は無意識に心得ているのだ。性的なものを排除し、蝶のしぐさにおもねりながら、美を極めようとしている。

 完璧な形で生きた蝶を可愛く操るマジシャンのようだ。工学技術を駆使し、日本美やデザイン美、で見事に肉声を透明化している。

by sakaidoori | 2009-08-10 14:27 | af | Comments(0)
2009年 06月 12日

1004) af 「紙の世界・04 『神秘画と秘画、古版画』(17~18世紀)」 終了・4月21日(火)~5月23日(土)

○ AF2009:紙の世界ー04
   『神秘画と秘画、古版画』(17~18世紀)

 会場:札幌アリアンス・フランセーズ
    中央区南2条西5丁目・南2西5ビル2F
    (入口は西向き。エレベーターでのみ2階へ。)
    電話(011)261-2771  
 会期:2009年4月21日(火)~5月23日(土)
 休み:日曜日・祝日(定休日)
 時間:10:00~19:00
    (土曜日は、~18:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーー(4・18)

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 二つの混合展示。

 一つは一般に流布した人生訓的挿絵(エンブレマタ)、一つは17世紀に活躍したジャン・ド・ラ・フォンテーヌという寓話作家の成人向け寓話の挿絵。

 前者が道徳的戒律の絵で、死を踏まえたお堅くて普通の絵。
 後者は、寓話の主旨は分からないが微笑ましくもスケベな絵。

 挿絵版画という技法・手法を共通するだけで画題としての共通性はない。まことにユーモラスな組み合わせだ。こういのをフランス的エスプリというのだろうか。


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     ↑:「笑い」。

 版画作品は文章のためのもの。文意がすぐに理解されるように工夫したのだろう。

 僕はこの絵をみても何ほども興がわかないが、視覚情報の少ない時代にはそれなりに役に立ったのだろう。特に宗教活動や村落の自治活動とも関わりがあったと思う。

 これらの「人生訓」の通奏低音に「死」があるようだ。「人生には死という避けられない最後があるのだ。ゆめゆめ忘れずに瞬時を生きよ!」これはキリスト教的生き方に反しない。
 一方「(死を重大な事件として、)人生は繰り返す!」という考え方もあるようだ。
 輪廻転生(りんねてんしょう)は仏教では否定される。キリストの復活思想・地獄天国観とも反するが、反復という死生観は有史以前のある種の人にとっての智慧かもしれない。
 下の一番右の写真、蛇のサークルは繰り返す死生観を表現している。性の象徴の蛇ではないとのことだった。


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    ↑:左から、「時は流れる」、「未来」、「老い」。
   (他に「不死身」、「休息」などがある。)


 次に成人向けの秘画を載せます。こういう挿絵付き印刷本が商売として成り立っていたのでしょう。
 どんな男性がニヤニヤして見ていたのだろう?これらの絵にどういう寓話があるのだろう?「人生を楽しめ」ということか?「あまり楽しむと落とし穴があるぞ」と、教訓めいたことを言っているのだろうか?宗教家や旦那さんと言われる人達への揶揄もあるだろう。


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by sakaidoori | 2009-06-12 10:07 | af | Comments(0)
2009年 06月 04日

990) af 「紙の世界・05 『エクスリブリス』(18~20世紀)」 5月26日(火)~6月20日(土)

○ AF2009:紙の世界ー05
   『エクスリブリス』(18~20世紀)

 会場:札幌アリアンス・フランセーズ
    中央区南2条西5丁目・南2西5ビル2F
    (入口は西向き。エレベーターでのみ2階へ。)
    電話(011)261-2771  
 会期:2009年5月26日(火)~6月20日(土)
 休み:日曜日・祝日(定休日)
 時間:10:00~19:00
    (土曜日は、~18:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーー(5・30・土)

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 今回は書票です。自分の蔵書に所有権を明示する為の記入物です。単なる添え物が美術品として一人歩きをしているのです。
 本というものは貴重なものです。写本時代の書物はあらためて所有者を記す物を添える必要はありません。印刷が普及して、美術というものが貴族の大広間だけの産物でなくなるのと反比例して、人気を集めていったのでしょう。ヨーロッパの場合はイコンのような感覚もあたかもしれません。東洋の落款印との比較をしてみたいものです。

 18世紀の古い時代の作品と、美術品としての近代の作品との2部構成です。簡単に紹介します。


○ 18世紀の作品

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○ 19世紀~20世紀の作品

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 やはり、現在の方が刺激的だ。小品と言えども侮りがたいヨーロッパ美学がある。切手もそうだが、ヨーロッパの凹版印刷の線の鋭さは日本人には真似できない。茫洋とした自然風景などは彼等の視野に入らないみたいだ。この鋭さで人物や建物を彫るのだ。エロスも障子越しのぼやけたスケベ根性ではなく、拡大レンズ付きの覗き穴から睨みつける厭らしさだ。

 小さな世界に作家の思想が明瞭に表現されている。
 作品は好きだが、とてもこういうのを我が愛蔵書の奥書付近に張る気にはなれない。独立して見るには良いが、本とは不釣合いだ。

 付近は横文字だらけの、しかも全然意味不明のフランス語の本が並んでいる。フランス蔵書票鑑賞にはぴったりの場である。

by sakaidoori | 2009-06-04 22:07 | af | Comments(0)
2009年 04月 06日

962) af 「紙の世界・03 『西洋双六』」 3月17日(火)~4月18日(土)

○ AF2009:紙の世界ー03
    『西洋双六』(18~20世紀)

 会場:札幌アリアンス・フランセーズ
    中央区南2条西5丁目・南2西5ビル2F
    (入口は西向き。エレベーターでのみ2階へ。)
    電話(011)261-2771  
 会期:2009年3月17日(火)~4月18日(土)
 休み:日曜日・祝日(定休日)
 時間:10:00~19:00
    (土曜日は、~18:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーー(3・17)

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 今年のアリアンス・フランセーズは紙文化の紹介です。すでに3回目で、今回は西洋双六です。

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     (↑:大きくして見て下さい。)

 作品は18世紀~20世紀に遊ばれたものです。どういうキッカケでフランスに双六が始まり、定着していったかは分かりません。升目にはホテルや刑務所があり、非農耕的な人生ゲームです。都市が発展し、市民が浮き沈みの人生を楽しむ余裕が生まれたのでしょう。迷宮などもあり、どこか貴族の没落を思う。おそらく博打として流行っていったのでしょう。

 昔の双六は定型があったようです。マスは全部で63。基本的にサイコロを振って、早くゴールに着いた人が勝ち。
 升目には約束事があります。
 19番、ホテル。二回休み。
 31番、井戸。井戸に落ちたということで、誰かがここに来るまでお休み。助けた人はまた誰かが来るまでお休み。つまり、一度誰かが入ると、常に誰かが居るわけです。
 42番、迷宮。30番に戻る。
 52番、刑務所。井戸と同じ。
 58番、死。振り出しに戻る。

 あと、雁の升目はもう一度サイコロを振って進むことができます。「雁の遊び」と言われる所以です。どこか殺気立った雰囲気です。戦争やペストで「死」が身近な国なのですね。「メメントモリ」です。

 「死」の升目が面白いので、いくつか載せます。

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     (↑:展示壁は図書室でもあります。)


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     (↑:afを退場して狸小路を移動の、途中の休憩場。CAI02で開催中の「富樫幹・個展」の案内板が置いてあった。チョッとフランス的な景色でした。)

by sakaidoori | 2009-04-06 14:12 | af | Comments(4)
2008年 06月 26日

674) af 「毛利伸正・写真展 『ATMOSPHERE』」 6月24日(火)~7月5日(土)

○ 毛利伸正(のぶまさ)・写真展
    『ATMOSPHERE』

 会場:札幌アリアンス・フランセーズ
    中央区南2西5 南2西5ビル2F・(入り口は西向き)
    電話(011)261-2771  
 会期:2008年6月24日(火)~7月5日(土)
 休み:定休日・日曜日・祝日
 時間:10:00~19:00 (土曜日は~18:00迄)
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 小樽港マリーナを背景にした夜明けの風景を、時の流れにスポットを当てての写真展。

 何と言っても色が美しい。日の出前の七色の空の変化を追跡していくのだが、刻一刻と変わる青色、紫といってもいい色が目に飛び込んでくる。だんだんと朝焼けの朱色が力を蓄えて画面中央を支配していく。朱には白や黄色が寄り添い、シルエットの黒が深く主張している。色の変化・拡がりをコンパクトに宝箱のように閉じ込めた作品群だ。

 好ましいのはオーソドックスなアングルの連続という点だ。被写体は少しずつ移動しているが、極端な広角やアップ写真を避けている。几帳面な感じで淡々と「風景」の変化を追っている。「夜明け(前)」というシンプルなテーマに、時間軸というシンプルな手段で迫っている直向さが新鮮だ。

 僕はこういう写真を見ると、写真を撮っているカメラマンのことを真っ先に思ってしまう。日が出始めてからはこういう写真は撮れない。日の出前の1時間半前位には現場に行かなければならない。「この人は何時に起きるのだろう?札幌在住とあるから、それなりの時間をかけて現場に行くのだろう。前の日から準備をしているだろう。期待した訪問に天気が応えてくれただろうか?春夏秋冬、吐く息も白む時があるだろう。朝の空気の新鮮さが元気の素かもしれない。朝の臭いと暗がりが・・・」

 展示は屹立するクレーンで終わる。
 最後の作品選定が難しいと思う。明るくなればなるほど、色の変化は失せて、白ばかりの光の世界になる。どこで止めるか。青の世界だけで止めるか。白む景色も見せるべきか。海に反射する光の乱舞という方法もある。そこには写真技術を離れて、個展という「思想」の世界がある。
 クレーンの作品。あたかも今から始まる一日の、社会の活力の象徴のようだ。なおかつ高みから神々しく見下ろしている。
 水平線を基調にして横線中心の世界の展示の流れであった。作品は横長が殆んどだ。縦線をリズミカルに配して動きやリズムをもたせていた展示の流れが、夜明けとともに変化した。
 フラットな「風景」が見上げる存在に変化した。「風景」から「社会」へと変化した。

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 ↑:会場入り口の「始まり」から、「終わり」までのおおよその流れ。


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 ↑:始まりの作品、「夜明け前」。
 何ともいえない、色のグラデーションです。同時に空気感も伝わってきます。

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 ↑:「紫の夜明け」

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 ↑:「朝の7時」。

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 ↑:左右を切って、真四角にしたお洒落な作品です。お洒落な展示です。黒がとても気に入りました。

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 ↑:「今日の始まり」。


 f0126829_12285079.jpg この3年間で、小樽を沢山撮られて、今回の「夜明け」という編集による個展です。
 今までの作品、あるいは今後の新たな展開等々、次も楽しみです。

 (→:クリックして下さい。大きくなります。)





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by sakaidoori | 2008-06-26 13:06 | af | Comments(0)
2008年 05月 11日

620) af 「フランク・ゴルドブロン写真展『異なるもの奇異なる物』」 4月8日(火)~5月24日(土)

○ フランク・ゴルドブロン写真展
    『異なるもの奇異なる物』
   <AF2008:キャビネ・ド・キュリオジテ(珍奇陳列室―03>

 会場:札幌アリアンス・フランセーズ
    中央区南2西5 南2西5ビル2F・(入り口は西向き)
    電話(011)261-2771  
 会期:2008年4月8日(火)~5月24日(土)
 休み:4月29日(火)~5月6日(火)、日曜日
 時間:10:00~19:00 (土曜日は18:00迄)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(5・10)

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 、昨年のアリアンス・フランセーズ主催写真公募展で入賞したフランク・ゴルドブロンの写真展。その折に送られた10枚の作品で構成されている。

 作品は森の中を背景にして、岩や動物を合成している。気分は古代の恐竜時代だ。タイム・スリップして安全に古(いにしえ)を楽しもうというのだ。
 「キリンが恐竜時代にいるわけがないだろう!」って、そんな細かいことを言っていたら、フランス人の知的ユーモアについていけないよ。これ等は一種のオタク作品で、リアルさを売り物にしているだけなのだ。撮影者は読み手がどんな笑いをするかを楽しんでいるのだから、こちらも彼に負けないくらいにそれらしい物語を語ってやればいいのだ。現代版の外人・一休さんとのトンチ遊びなのだ。それにしても、さすがはフランス人だ。知的センス、洗練度は見習うものがある。

 撮影者のトリッキーに当館の主宰者は刺激を受けたのか、作品の間にいろんなコンパスのコレクションを並べている。そしてクイズを鑑賞者に出している。「帽子職人・馬具職人・時計職人・靴職人・看護師・地図学者・石工・鍛冶屋の道具はどれだ?」と質問用紙を用意している。正解者にはプレゼントがあるそうだ。しかし、全然分かりません。物理系・建築系で興味のある方は見学に行ってはどうですか。

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by sakaidoori | 2008-05-11 23:03 | af | Comments(0)
2008年 04月 12日

※) af 「栗田健 絵画・版画展 『room』」 3月25日(火)~4月5日(土)

○ 栗田健 絵画・版画展
    『room』

 会場:札幌アリアンス・フランセーズ
    中央区南2西5 南2西5ビル2F・(入り口は西向き)
    電話(011)261-2771  
 会期:2008年3月25日(火)~4月5日(土)
 休み:3月30日(日)
 時間:10:00~19:00 (土曜日は18:00迄)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(4・5)

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 余地「room」

 音は耳を越えて鮮明な風景を描きだす事がある。
 それは肌のすぐ内側だか外側だかに何よりもたしかだ。
 
 風景は視覚をこえて音響は肌をなでる。
 内側だか外側だかよくわからない空間。

 空の箱の中から見る。空の箱を見る。
 境界線はぼやける。

 窓に近づけば、まだどちらかと言えるが、
 窓になれば、ただひびく、ただうつる。  (会場に張られていた散文詩)


 今展に対する作家の思いを綴った文章だ。イメージを謳ったものと思う。
 「対象ー五感ー認識」という文節的関係以前のイメージそのものが立ち上がっていく姿、それを詩としての言葉で展開している。作品はその絵画化されたもののようである。
 画家はイメージそのものを楽しんでいる感じだ。今はその方向性を見極めるというよりも、イメージの立ち現れる過程を一緒になって楽しむのが良いのだろう。彼のイメージを喚起するプロセスに、見る側のイメージ喚起能力が触発されるかどうか・・・。

 展示は版画と肉筆画の構成。今回の版は白黒ありなど、肉筆画のアクセントのような役割になっていた。面白いのは向こう側の作品群が色もくっきりしていて児童画のようで伸びやかなのだ。イメージ過多の他の作品とどういう関係なのかを考えてしまう。画家は完成した作品に至る過程のようなものだと言っていた。作家のコンセプトとは関係なく、ぼやけた作品とのコントラストが、会場全体に変化を生んでいたと思う。イメージもより一層膨らむ感じだ。

 画家は若い男性だ。まだ北海道には半年足らずの生活だ。今後見る機会が増えるだろう。どう深まっていくのだろう。

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 ↑:左側から、「輪郭の景色」・紙に油彩、「声」・パネルに油彩。

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 ↑:「花の窓」・紙に油彩&パステル。

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 ↑:左から、drawing「壁」・紙 水彩 パステル、「丘」・木版画 パステル。

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 ↑:drawing「公園」・紙 水彩 パステル。

※1981年 群馬県館林生まれ
  2004年 武蔵野美術大学油絵学科版画コース(リトグラフ専攻)卒
  2007年~ 札幌芸術の森版画工房専門員

by sakaidoori | 2008-04-12 23:55 | af | Comments(1)
2008年 01月 26日

496) af ②「創設記念写真展・異なるもの奇異なるもの」 終了・11月27日(火)~12月15日(土)

○ 創設20周年記念写真コンクール展
   「異なるもの奇異なるもの」

 会場:アリアンス・フランセーズ
   南2西5 南2西5ビル2F・入り口は西向き
    電話(011)261-2771  
 会期:2007年11月27日(火)~12月15日(土)
 休み:日曜・祝日
 時間:10:00~19:00 (土曜日は18:00、最終日は12:00まで)
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 最終審査に残った撮影者と作品タイトルを紹介します。前回も書きましたが、「作品&タイトルー撮影者」を明確にしない展示でした。受賞者の作品ははアリアンス・フランセーズのH.P.で分かるのですが、その他の方ははっきりしません。読者のほうで推測されて下さい。一報頂ければ嬉しいです。
 作品は見る順番です。

 【撮影者名】 
 小松友里子 江口修 IKEDAーDERAITE TOMA 谷口能隆 伊藤也寸志 竹本英樹 武山友子 GOLDOBLONN Franck 高橋文代 上嶋秀俊 黒瀬ミチオ 高島幸直 足立成亮 置田貴代美・・・以上、14名。
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 ↑:①「札幌2007」→第1位・ダゲール賞  竹本英樹

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 ↑:②「UNDO」→第3位・ナダール賞  小松友里子

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 ↑:③「路地裏の恋人」

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 ↑:④「Le crabe」→第2位・リュミエール賞  フランク・ゴールドブロン

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 ↑左から、⑤「accept」、⑥「寂」。

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 ↑:⑦「来訪者」。

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 ↑:⑧「時空通路」→大衆賞  高橋文代

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 ↑:左から、⑨「incomplete」・伊藤也寸志、⑩「La main suisse」。
 ⑨は伊藤也寸志君?
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 ↑:左から、⑪「/記憶1」・黒瀬ミチオ、⑫「Une allee a nommer le nouveau monde」。
 ⑫の作品に投票しました。タイトルにフランス語特有の記号表記ありません。

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 ↑:左から、⑬「落ちたら別のものへ」、⑭「Le poids de la duree」

 作品は2点一組の展示。ここでの写真展示法にならっています。写真の質が上手く伝わったかどうか・・・。バラエティーに富んで良い公募展だったと思います。

 アリアンス・フランセーズの写真展は面白い。当然、質が高い。技法を含めて普段見慣れない写真が続きます。
 今開催されている「印象派写真展」、色々と加工するのを好む写真家は必見では。もちろん、一般鑑賞者も楽しめます。

by sakaidoori | 2008-01-26 20:52 | af | Comments(0)