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栄通記

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2008年 09月 28日

765) ギャラリー・エッセ 「花田和治  『自選展』」 9月23日(火)~9月28日(日)

○ 花田和治  『自選展』
       
 会場:ギャラリー・エッセ
     北区北9条西3丁目9-1 ル・ノール北9条ビル1階
     (南北に走るメイン道路の東側)
     電話(011)708-0606
 会期:2008年9月23日(火)~9月28日(日)
 時間:10:00~19:00
     (最終日は、17:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーーーー(9・26)

 まずは会場の全体風景から。

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 ↑:入り口付近。以下、左回りでの会場の全貌。

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 非常に素晴らしい個展だと思います。
 今展は「自選展」です。が、残念ながら個々の作品には制作年代は明記されていません。花田和治氏の年齢もはっきりしません、おそらく60歳前後だと思います。
 この展覧会を見る限り、完全抽象画から出発してシンプルな具象性を加味しながら、最近作は無駄を排した詩的情景画に至っています。
 何が素晴らしいか?若き頃の抽象画は年齢と共に変化するものです。その変化を我々は最新作から逆に氏の全貌を振り返るわけです。若き頃の可能性が結果として最近作に結実した姿、結果的にはその過程を好ましく思ったり良否の価値判断を下すわけです。

 最近作のピンク色の「雪の日 Ⅰ」、実に素晴らしい。この作品に至る作家の足跡を楽しむのです。明後日の日曜日までです。是非、足を運んでもらいたい。そして、「次は最近作だけの個展を見たい」と、作家を励ましてもらいたい。

 以下、奥さんからの話と僕の憶測に基づいて制作年代を加味しながら、あえて個別作品を5部構成で紹介します。

① 超初期の作品

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 ↑:「玄関」

 明瞭に他とは違っています。何処が違うかというと、輪郭線です。表現主義的な思い入れの強い線描になっています。
 奥さんによると学生時代前後の作品とのこと。この自選展に出品するのですから、画家の愛着もひとしおでしょう。タイトルにある「玄関」、正に門立ちの作品です。具体的タイトルは現在と同じスタイルです。

② 抽象作品群。完全抽象から抽象化作品へ。制作年代はほとんどわかりません。

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 ↑:上から、「6月のくもり」。「開かれた窓 Ⅱ」。
 下の作品は裏側が見えるので制作年がわかります、「’93 4/22 30F」と明記。

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 ↑:左から、「早春」。「MEGUMI」。
 確かに完全抽象画ですが、「早春」は風景の抽象化作品として見えなくはありません。水平線(地平線)に空、海(あるいは春待つ草原)というふうに。しっかりと雪の白があります。四角は自己あるいは自宅としてのドアか窓という風に。花田氏の場合、タイトルは万感の思いの反映のように受け止めました。


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 ↑:「三角山の近く」。
 青と緑、三角に切られた直線、ただそれだけです。ほとんどの人が「山」を連想するでしょう。そしてタイトルは僕らを安心させるように「三角山・・」とあります。春、あるいは初夏の山でしょう。間違いない。イメージが膨らむ絵です。

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 ↑:左から、「アース」。「ポプラ」。
 「アース」、不思議な絵です。青のギザギザ模様が人のシルエットにも、木にも見えます。あるいは太陽のオーラが大地に溶け込む姿にも。
 「ポプラ」、まさにそのものズバリです。色面に対する詩情表現の優れた画家だと思う。色や線を限りなく省略しているのですが、省略の痕跡よりも、清々しさ、瑞々しさの足音が聞こえてきそうです。


③ 人物のある絵、及び人物画。

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 ↑:「地下鉄にて」・1991年制作(画布に書かれています)。
 抽象画をしっかり描いていた頃に人物画の虜になった時期があったのかもしれません。女性への憧れというのか、素直なロマンを感じます。顔の茶色が特徴的です。描き手の強い意思の現れでしょうか?

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 ↑:左から、「少女」。「ハナリン」。


④ 3年前の旧テンポラリーから最新作へ。

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 ↑:「母の列車」。
 不思議な絵です。タイトルを読むと何故だか納得したのを覚えています。というのは、3年前?の旧テンポラリーでの個展発表作品でした。強く印象に残っています。
 下の白い部分が夜汽車の照らす灯りで、その列車に「母」が乗っているのか?あるいは画家自身が「母」のことを思いつつ揺られているのか?廻りの薄暗い青と黒が画家の沈鬱な気持ちの反映なのか、母の心のありようなのか?哀愁に満ちた作品です。ただ横に波打つ線と、それらに区切られた色だけの世界。悲しみが覆っているようです。

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 ↑:「雪の日 Ⅰ」。
 薄いピンクが若々しい。早朝の朝もやの色だ。建物にかぶさった雪が・・、シンプルに優しくそこに在る。長年、雪を見つめる目が絵になったようだ。
 最新作とのことです。
 3年前の個展時にも作家の様子を遠巻きに拝見することが出来ました。小柄な体を小気味よく動かせて、お客さんと楽しく会話しているのを覚えています。今展も友との語らいに楽しそうでした。が、前回に比べると随分と体の衰えを感じます。おそらく体を患われたのでしょう。
 ですが、何という清く明るく美しい絵なのでしょう。

 次回の個展は最新作のオン・パレードを見たい。その詩情が風景や、人物を覆っている絵を。抽象による、より自由な世界を。


 (何点か写真だけを追加します。)

by sakaidoori | 2008-09-28 00:42 | エッセ


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