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栄通記

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2008年 07月 21日

695)紀伊國屋 「H.I.P‐A 紀伊國屋プロジェクト’08夏」 7月18日(土)~7月24日(木)

○ H.I.P‐A 紀伊國屋プロジェクト’08夏
    「日常をアートする」

 場所:紀伊國屋書店札幌本店 (大丸の西隣)
     展示→2階ギャラリー
     パフォーマンス→1階インナーガーデン
    中央区北5条西5丁目ー7 
    電話(011)231-2131
    注意⇒イベントに関する問合せ:080-5589-6650
 期間:2008年7月18日(土)~7月24日(木)
 時間:10:00~21:00(最終日18:00まで)
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 「芸術家・中居栄幸が札幌の若手芸術家と共に、この夏、紀伊國屋に終結!
 音楽家、画家、ダンサー、家具デザイナーなどのあらゆる分野の表現者が紀伊國屋を舞台に、『日常をあーと』します」

 
695)紀伊國屋 「H.I.P‐A 紀伊國屋プロジェクト’08夏」 7月18日(土)~7月24日(木)_f0126829_9581374.jpg 2階のギャラリー空間だけを語ります。全体の関係者やイベント・プログラムは右の写真を見てください。








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 通路展ではありませんが、立派な建物の開放的な空間で、若者達のノンビリ展という感じです。若干オタク的な若者・作品が、明るい処での展示に戸惑っているみたい。それでも、店舗との間仕切りもないし、ガラスの向こう側に見える都会の景色は作品の個性を埋没させて、街の風景になっています。それは個性の強い作品・展覧会ではないということです。それぞれが羽ばたくための一里塚・展です。

 最近知り合った今井君の案内で見に行った。彼の作品の確認と、お気に入り作家・森本めぐみを楽しみにしてでもある。総合ディレクター・中居栄幸の仕事ぶりも見たかった。

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 ↑:森本めぐみ

 細い通路の円柱カーテンを抜けると「めぐみの部屋」だ(上のカーテンの写真は反対からの撮影)。アラビアン・ナイト風で美女が寝そべっているような間(ま)、チョッと学芸会風だ。
 壁にスケッチなどを貼り、正面には今展の彼女の力作。
 彼女は二十歳過ぎの学生だ。今は自分の中の闇を吐き出す過程なのだろう。楕円の好きな学生だ。花になったり口になったりする。今作は唇をかみ締めながら暗い部屋で悶々とするという地点から、花園との夢見る語らいへと振れている感じ。
695)紀伊國屋 「H.I.P‐A 紀伊國屋プロジェクト’08夏」 7月18日(土)~7月24日(木)_f0126829_1055731.jpg だが、何と言ってもインスタレーション風の床の展示物に驚かされる。緑の芽を伸ばした展示物もあり、「いのち」ということを表現したいのだろう。そんな公式的な彼女の語りは無視して、ぞんざいに投げられ引きちぎられた服に驚いた。下着そのものはないのだが、それをリアルに感じさせる。彼女は少女とはいえないが、可愛くあどけない表情の持ち主である。「可愛い」と僕自身が彼女のことを語り、他人にもそう言われているだろう。おそらく、そう言われる見ばえの「自分」と、彼女自身の自意識としての「自己」との乖離、それでも笑顔で場をごまかす「自己嫌悪」、それらが「好きな絵」の裏側にあるのだろう。 
 一方で美しく清らかなものを求めているのだろう。ペンダントのような首飾りの御霊入れを陳列していた。「聡明さ」と「夢見る心」があれやこれやの表現になり、今は脱皮の過程なのだろう。


 以下、会場には懇切なキャプションが用意されているのですが、ほとんど読まなかった。作家のコンセプトを無視した鑑賞であり、感想記になりました。

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 ↑:山口悠生
 「包む」をテーマにした作品みたいです。それで、座ってみると意外に気持ちがいい。
 

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 ↑:川内優加(かわうち・ゆか)、「底から」。
 展示作業中の風景。既に展覧会は始まっているので、何かのアクシデントがあったみたい。作業している作家に聞いてみた。「昨日展示したのです。照明で作品を見せたいのですが、明るいところに展示して全然効果がなかったので、急遽の暗室作り!」とのこと。
 恥ずかしい失敗ではあるがメゲナイデクダサイ。
 作品はドローイングの線描を裏側からの照明で浮かび上がらせようとするもの。だから「底から」、そして「そこから」始まるのでしょう。


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 ↑:今野晶人(こんの・あきひと)。
 変な写真を半円形の反射板を背景にしての展示。反射板に写るように裏表の重ね粘りの写真だ。
 本当の背景はガラス越しの風景で、作品もその風景と一体化している。その辺が表現者の意図なのだろう。どうということはないが、「作品」によって「場」を引き立たせるという目的は達せられていたと思う。
 他にも小品を展示していた。もっと大きく広く表現したものを見たいものだ。次回の課題だろう。


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 ↑:滑川真由、右側は「まなざし」。


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 ↑:中居栄幸。
 この作品の趣旨は明快です。作品を触らせることです。「自由に触れてください」と但し書きがあります。それは「触れよ」という中居君の「心の命令形」でもあるのでしょう。だから僕は作品の裏側のキャンバスの生地を触ってきた。ざらざらしていた。
 
 展示作品には中井君のコメントが添えられていた。良い説明文だと思う。理知的な彼の一面がよく表現されている。「自己表現としての作品」を超えた、「社会化された作品」の探求が彼の問題意識だと思う。今展のような若き作家直前の人達と一緒になっての場の試みが彼の問題意識を大きく育てるのだろう。

 他に参加作家は、萩野華子 堺麻那


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 (追記:お詫び。人名の誤記が幾つもありました。失礼しました。)

by sakaidoori | 2008-07-21 12:11 | 紀伊國屋書店


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