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栄通記

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2008年 01月 13日

470) さいとう 「小松志津江・日本画展」 1月8日(火)~1月13日(日)

○ 小松志津江・日本画展 

  会場:さいとうギャラリー
     南1西3 ラ・ガレリア5F
     電話(011)222-3698
 会期:2008年1月8日(火)~1月13日(日)
 時間:10:00~18:00(最終日は17:00迄)


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 5階全フロアーを使っての日本画の展示。画題は小品は花、中・大作は風景が中心。

 上手い。三越の売り場に展示しても引けをとらないだろう。適当に技法を変えても質の高さがある。一定以上の質の高さと、技法のバラエティーさを持っている。上掲の入り口直ぐの作品群がもっともオーソドックスだ。会場は3室に区切られていて、そこは最初に見れるわけで、それだけ作家が鑑賞者に見てもらいたいところでもあろう。上手だが、少し花鳥風月的で個性に欠けるとも思う。

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 ↑:右側、「瀧」・70×145。

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 ↑:左側、「凍河」。右側、「冬の水辺」・F80(78回平原社展佳作賞)。

 「個性に欠ける」・・・次の2室、3室と見続けていけば、その心配は無用だ。
 1室で「樹」に画題の焦点を当てて、広がる自然と空間を提示した後、次は「川」と「滝」と「青」と「白」にスポットを当てる。画家の意気盛んなところを見せてくれる。画題は確かに定番である。多くの先人達が名作を残している。岩橋永遠に対する親愛もかいま見える。だが、北海道に住む人間として、雪を友達に持つ女として、果敢に日本画にチャレンジしている姿を見る。雪のボリューム感、冬の光具合による変身する冬の眼差しとしての風景。確かに誇張美はある。それは、絵としての誇張と言うよりも、画家・小松の日本画・美へのチャレンジ精神として捉えたい。展示が一対になっていないところがこの人らしい。

 オーソドックスな日本画に満足しきれず、一方、伝統から離れきれない作品が最終室にランダムに並べられている。もっとも面白い展示空間だ。顔を覗かせている作品の破綻が人間・小松をさらけ出している。

 

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 ↑:「花火の日」・F60。

 少女が斜め横に描かれた作品。実に愛すべき作品だ。
 大きな作品だ。そして、あまりにも巨大な人物。しかもバランスを崩した大きな顔、深みも無くただ笑っている表情、まるで二流のチラシのような風情だ。おそらく作家は人物をあまり描きこなしてはいないのだろう。巨大すぎた人物に背景処理のように描かれた夜景と花火、人物への破綻は空間を生かすことにも失敗している。
 だが、何と愛すべき作品なのだろう。「日本画」に治まりきれない小松・ワールドがそこにはある。美的構成や伝統美を意図的にずらして、上のような作品が出てくるのだろうか?それは小松女史の方向性を無視した僕の夢かもしれない。

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 ↑:左側、「花火」・F120(第81回道展入選)。右側、「雨脚」・S40.。

 「花火」、幻想気分というより、なんとも言えない嘘さ加減というのか、不思議なムードが良いですね。
 「雨脚」、本当にきれいな作品です。江戸時代の浮世絵、懐かしい村落を思う。明るく清らかな理想の世界です。こういう絵をこの画家は描けるのです。不思議な画家です。画風がランダムなのは見ていて楽しい。それらを貫く「描きたい事」が感じられと、技量を超えた表現の世界が豊になるのでは、そんなことを思ってしまった。
 
 タイトルが不備で申し訳ありません。以下、タイトルだけ記します。写真掲載の作品も含んでいると思います。

 「夏草」・F80
 「瀧」・p100(79回平原社展佳作賞)
 「燦」・F120(第80回道展入選)
 「遥」・F130(第82回道展入選)
 「輝」F100

by sakaidoori | 2008-01-13 18:48 | さいとう


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