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栄通記

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2008年 01月 05日

459)①CAI「絵画の場合ー渋谷俊彦・展」・インスタレーション 終了・2006年9月23日~10月7日(土)

○ 渋谷俊彦・展
     -瞑想の森ー

 会場:CAI現代研究所
     北1西28
     電話(011)643-2404
 会期:2006年9月23日~10月7日(土)
 休み:会期中無休
 時間:13:00~19:00 

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 薄暗闇の森の中を訪れた気分だった。
 正面のモザイク状の七色の世界が森の色、規則正しく立たれた角柱がそこに棲む生き物達。当然擬人化されて見られるだろう。無機質の半地下構造の場所のありようが、作品世界が別の住民の住まいという思いを強くする。
 立っている物体の頂上面は素敵な色の輝きを帯びている。そこは画家・渋谷の独壇場だ。その技法は問わない。光に当たり個性豊かに輝いている。緑系が大半だが、何故かピンクもある。ピンクは性的色彩、だがほとんど色欲に遠く、内なる瞳の輝きとしてそこに在る。
 渋谷俊彦はそれらを高さと色で個性を引き出し、各々の関係を等距離に保とうとしている。それは氏の美の反映であるかもしれない。その隔てた空間に影が二重三重に綾なしている。見る人はその空間に身を置き、徘徊し、時には正面のデコボコ感のあるモザイク壁に目を転じ、瞑想の世界に沈んでいく。静かな興奮と喜びが、角柱に話しかけたいという衝動に変え、はたと背後に何かの気配を感じてはゆっくりと身を反転する。

 でくの棒のように立つ角柱。生ある輝きとして立つ角柱。現世と幻想の往還として人はそこに立つ。

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 メイン会場の奥にはわずかな階段があり、地上と同じ高さの物置部屋に通じる。
 半間の幅の階段を昇り始めると、狭い空間に光に照らされた白い角柱がいきなり目に飛び込んでくる。それらは黒い角柱とは一転して、身を寄せ合うようにして固まっている。巣穴の中で番(つがい)が寄り添い、優しく入り口の訪問者を見ているようだ。全ての頂上面は赤系の色だ。
 「何て人間臭い場所なんだ!」

 劇的な演出効果だ。黒と白、闇と光、開放感のある場と密閉された場、秩序と自由さ。森という幻想的な生態系と、社会的人間としての構造化された見る目。
 渋谷俊彦はインスタレーションという構造に絵画という構造物を投げ入れ、見る人の全身の感応力で拡散された絵画空間として造形化しようとしている。間違いなく、記念碑的展覧会である。


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 (③に続く

by sakaidoori | 2008-01-05 16:42 | CAI(円山)


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