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栄通記

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2007年 08月 01日

278)市民ギャラリー 「北海道陶芸展」 終了(7月29日まで)

○ 第36回公募展 北海道陶芸展

 会場:札幌市民ギャラリー 2階3階
     南2東6
     電話(011)271-5471
 会期:2007年7月25日(月)~7月29日(日)
 時間:10:00~18:00(最終日15:00まで)

 主催:北海道陶芸協会


 入って直ぐに今は亡き下澤土泡氏の作品が特陳として並んでいる。氏の作品は一目でそれとわかる。土臭さを全面に溢れさせている。日本陶芸の歴史の中で北海道らしさを追及した結果なのかもしれない。歴史の浅い道内の陶芸の自立のために戦った姿がしのばれる。「道内の陶芸普及と北海道らしさ」を出発として、次代の陶芸協会の作風はいかに「今」を付加して表現するかが課題だろう。作品を見渡せば見事に二分された姿が窺い知れる。土泡的泥臭い作風と、ほとんど無縁と言ってもいい若い人の軽やかな感性とに。「工芸表現」と「陶としての自己表現」とに。後者のもっとも最先端に位置するのが最高賞(北海道陶芸協会大賞・会員推挙)を受賞した、多田昌代「戦死のゆりかご ー君にしばしの安らぎを」だろう。

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 土泡氏の泥臭い作品の目の前に違いを際立たせて並んでいる。白の世界、陶が包み込むように空間を作り、更にその中に一つの生き物のように何かを収めている。タイトルが物語を盛り上げている。この作品を戦士とその永久の揺り籠として見れーと、作家は叫んでいる。優しい空間の中に強烈な個性を見た。

 何点かお気に入りを紹介します。


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 ↑:左側、大石俊久・「まるいの」。
 右側、丹野茂雄・「対対」。似たような他の作品が奨励賞でした。写真で見ると輝いて見えますが、渋い中に豪華さを意識した作品。着物に顕著な日本伝統美を追求しているのでしょうか。


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 ↑:左側、堀史佳(学生)・「練上山空景色花器」。似たような他の作品が学生奨励賞でした。いかにも若くて爽やかな作品です。
 右側、森雅子(初出品)・「胎動」。新人賞です。土臭さを現代風にアレンジしたようです。射光土器をアレンジしたみたいです。僕はこういうのが微笑ましくて好きなのです。人体のデフォルメに限りない関心を持っています。


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 ↑:剣吉雄也、「若勢~JAKUSEI~Ⅰ」・学生の部最優秀賞(北海道科学文化協会賞)。デザインとして文字を使っているのが陶として面白いのでしょう。こだわりの無い若者気質が見えて好感の作品。

結構楽しめる作品展です。もう少し紹介したいと思いましたが、最後に他の優秀賞を載せて終わりにしましょう。


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 ↑:左側、山本恒雄(会員)、「群芽(ぐんが)」。北海道陶芸協会特賞(文部科学大臣奨励賞)。
 右側、菊池真一(会友推挙)、「靄(もや)」。NHK賞。

by sakaidoori | 2007-08-01 23:27 | 市民ギャラリー


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