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栄通記

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2016年 05月 24日

2533)⑨「群青②後期『対展Ⅱ』」 アートスペース201 終了/2月4日(木)~2月9日(火)

      「群青」(ぐんせい)展

 ぐんじょうと読まないで下さい。
  ぐんせいと読んで下さい。「群れる青い人達」です



後期・6階C室

「対展 Ⅱ」
佐々木仁美 高橋徹 竹中春奈 
杉下由里子 村田主馬 宍戸浩起 
高橋ヤヒロ(高橋智乃) 酒井詞音 
石澤美翔 阿部雄&千葉貴文
吉田切羽

・・・(以上10名+一組)


●第3回 丸島均(栄通記)企画

   群青(グンセイ)
     八つの展覧会
       〔写真、絵画、書、ドローイング、テキスタイル、立体〕

  「群れる青い人達」による自己表現展です。

    雪固まる1月、2月・・・
    寒い・・・
    少しでも元気になれれば・・・ 

●会場:アートスペース201
    札幌市中央区南2条西1丁目山口ビル5&6階
     電話:011―251―1418
   
●会期:前期⇒2016年1月28日(木)~2月2日(火) 
   後期⇒     2月4日(木)~2月9日(火)
     (前期は6階3室のみ。後期は全館5室の展覧会。)
●時間:10:00~19:00 
    (各会期最終日は、~18:00まで)
      


後期・6階A室
◯「女の空間」(女性写真展)
外崎うらん 高澤恵 平間理彩 杉下由里子 高橋ヤヒロ(高橋智乃) 石澤美翔

後期・6階B室
◯神成邦夫 写真展 
HORIZON-北海道-  
 ~内界と外界の境界線~



後期・5階D室
◯「元気展 ~色・物語の部屋~」(多ジャンル美術展)
  碓井玲子(テキスタイル) 小西まさゆき(絵画) 佐々木幸(現代美術) 杉崎英利(絵画)   
 
後期・5階E室
◯「元気展 ~線の部屋~」
  久藤エリコ(切り絵) 佐藤愛子(クロッキー) ドローイングマン(ドローイング) 樋口雅山房(書)

●催し:2月5日(金)17:00~20:00 
    17:00~  ドローイングライブ(ドローイングマン)
    18:00~   出品者紹介
    18:45頃~20:00  パーティー

●企画者:丸島均(ブログ「栄通記」主宰)
 連絡先:090―2873―2250 marushima.h@softbank.ne.jp
 住所 :札幌市北区屯田3条2丁目2番33号

ーーーーーーーーーー(2.8 9)


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宍戸浩起の場合
 (北海学園大学Ⅱ部写真部 1年)


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   ↑:「来るべ!新幹線。廃れちゃうべ、ローカル線」


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 実は、僕はこの場で宍戸君に謝らなければならい。
 作品は正直言って目立たない。その目立ちにくさを捕まえて、「若いんだから、もっと力んだ姿勢を示すべきでは」と、批判した。これはピントはずれな指摘だった。
 「対展」は競争展ではない。しかし、たった2点の作品しかないし、参加者も多いから、どこかが強くないとどうしても印象度が低い。そういう低さが「対展」では欠点に見えがちだ。僕はそう見てしまった。しかし、低いからといって、見た目が地味だからといって、そのことで作品が悪いわけがない。「対」という形式が宍戸ワールドにはマイナスになってしまった。

 彼の思いはタイトルが物語っている。新幹線開通の功罪だ。彼は鉄道が好きなのだ。テツ撮りだ。それを北海道弁で示し、「郷土に対する愛情」も示している。タイトルはとても大事だが、タイトルを読ませる前に、作品の前に立ち止まらせる「何か」がないといけない。その「何か」という魅力は、宍戸作品の場合は、ふわ~っとした軽さ、優しさ、愛情だと思う。目立たずに大事に関わる姿勢だと思う。それらは現在の若者一般の気質でもある。その気質をちゃんと表現しているのだが・・・、いかにも優しすぎて、目立たなかった。

 できることならば、その優しさがもっと大きく表現できればと思う。それは相当に難しい。写真技術の修練と、発表経験と、何より続けることでいろんな表現を身につけてくれるだろう。





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石澤美翔の場合
 (北海学園大学Ⅱ部写真部)




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   ↑:「本音と建前」。



 七色の花に包まれて明るい~、と思いきや。セルフポ-トレイトで美しく自分を見せている~、と思いきや・・・。作品は七色でとても綺麗、でも寂しい。おそらく、女の子(撮影者自身=石澤美翔)の表情がいじらしく、哀しげだから。顔を撮ってはいるが、何を撮っているか分かりにくいから(左側の作品)。

 石澤美翔はセルフポ-トレートで勝負する。華やかに着飾り、見た目の美しさ明るさが表舞台だ。そして、仕草や表情で、明るさに連れ添う女の子心を表現している。今展もその範疇だが、ちょっと普段とは違う。
 いつもの発散する姿勢が、「対」というテ-マに触れて、「心の裏表を追求しちゃおう」。



村田主馬の場合
 (北星学園大学写真部2年)




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   ↑:「前へ」。



 女の子のスカートがチラリだ。膝だ、ふくらはぎだ、かかとだ、足首だ。

 村田主馬君は女の子のスカート以下にチャレンジした!撮った!
 誉めるべきはここまで!その先がダメだった。何とももったいない、ただ撮るだけに満足してしまった!たじろいでしまった。こっから先を見たいのよ!どう君が突っ込むか!しかし君は足だけを普通に撮って満足してしまった。
 男はスケベなのよ。わかるだろう。スケベだからこそ「永遠なる乙女」とか理想化したり、「女直前の少女」という存在に不思議さを抱き、「女性のまろやかさ」に妄想が膨らみ・・・あれやこれやと楽しいのか狂おしいのか、脳の中をグチャグチャしてしまう。

 初(うぶ)なるかな村田主馬君!気持ちはウブでも構わない。ついついカメラがふくらはぎに引っ付いてしまった。そんな撮影者にならなければいけない。それが写真家というものよ、それが自己表現の第一歩よ!





高橋ヤヒロの場合
 (フリーデザイナー)



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   ↑:copy,reflection,copy」・水彩画。


 (今作は、その後より描き込まれて違う展覧会で発表された。そう意味では未完性です。今展では、やや薄塗りに感じたのはその為でしょう。)


 この「対展」は、「写真の要素がある作品」という出品規定がある。今作は完璧な水彩で、多分、廃墟現場の写真を参考にしているだろう。どこが、「写真の要素」かというと、「写真らしい絵画(水彩画)」がテーマだ。企画者としてはそれで構わない。もともと写真らしい絵画を求めていたから。初対面の女性に、それも作風を全然知らない作家から、意図せず提案されて驚きはあったが問題はない。
 問題があるとすれば、「『写真のように見えない』という反応なり批判が出るだろうが、その辺は覚悟して下さい」と言っておいた。

 さて、「写真のような・・」、試みのほどは・・・丸島均の目には、水彩以外の何者でもない。とても肉感がある。鑑賞者の何人かは「写真のよう」と言っていた。そういう意味では作家のネライはまずまず成功だろう。

 僕の問題意識は、「写真らしく」に拘る作家の制作姿勢だ。
 作家にとっては、「自由度の高い写真展だから『写真のような』絵画に遊び心で取り組もう」ではないと思う。大学で肉筆を学んだ人だ。もともと、肉筆で「無機質」な世界に取り組んでいた(ようだ)。だからこそ、画題の現場取材として廃墟を写真で収めるのだが、その写真そのものが気になって仕方がなかっただろう。「人為的構築物が廃墟として無機質に還元していく姿」をカメラという機械が機械的に記録として定着させる。そこに言いしれぬ「何か」が髙橋ヤヒロにはあるのだろう。

 僕は、彼女自身の問題意識よりも、廃墟を徹底的に無機質に出来ない画家の生理と、無機質にしたい願望との分離が一番の関心だ。したいことと、その結果が分離している。彼女の作品は画家自身の生理がプンプンしている。「女展」にも出品したが、そこは写真作品で、その写真は男勝り的な力強さがあり、まさしく絵画的だった。

 「無機質」と「生理」、「カメラの機械性」と「絵画の肉筆性」、その関係をいろいろと考えさせてくれた髙橋ヤヒロであった。






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髙橋徹の場合
 (北星学園大学写真部OB)



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   ↑:「私と父」。



 「父と息子」がテーマだ。その両者を見つめる仲立ちを「カメラ」がしている。

 撮影者自身の「親子」だ。そのことが素晴らしい。親子が見つめ合っている、そして「何か」を訴えている。それだけで充分だった。
 しかし、残念ながら、カメラが二人の表情を覆っている。あたかもカメラが宝物のようだ。「この親子にとってカメラは特別なんだ」と、主張しているみたいだ。そうかもしれない。そうかもしれないが、ここはストレートに親子の表情を、仕草を写真で見せて欲しかった。親子が見つめ合う関係を、写真という空間で披露して欲しかった。

 撮影者自身と父親が向き合う。それを第三者の関与する展覧会という檜舞台で見せる。それは、作品を見る者にとっては「自分と親」を見つめるキッカケにもなる。私的な髙橋親子という関係がそれぞれの「親子関係」という、目には見えないし、その場で語り合うこともない内省にも繋がっていく。その場合、「カメラ」という仲介は不要だ。この展覧会場という公的な場と、「写真」の持つ力だけで充分だ。残念なことに、髙橋轍は親子の間に「カメラ」を置き、それを主役にしてしまった。「親子」を提示した以上、タイトルにした以上、親子を離れた地点に鑑賞者を誘う必要はなかった。それほど「親子」というテーマは重い。

 仮に、タイトルが「カメラ」だったら面白いかもしれない。明らかに「カメラ」を見せつつ、そのカメラの背後が真の主役と人は気が付く。間接的な「親子」表現だ。

 だがこの場合、そんな間接技を酷使する必要はないだろう。素直に親子を撮りあって、二人の相互信頼の場にすればいい。あまりにヒューマンな姿かもしれない。時にはヒューマン一本勝負も良いものだ。



阿部雄千葉貴文の場合
 (ともに札幌大学写真部OB)
 

 
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   ↑:左側、千葉貴文、「鉄の花 -Set UP-」。
   ↑:右側、阿部雄・「鉄の華 -Re:set- 」。



 群青前期の写真2人展「鉄の灰」出品作からの賛助出品。

 阿部雄は丸島企画展第1回からの参加者だ。僕の不手際もあり、続けて参加しているのは彼一人だ。
 第1回の対展に参加したのだが、彼は随分と「対」に悩み、考えに考えを重ねて作品化した。その体験がプラスになった。だから、「企画者としては心許ないが、まだまだ丸島についていこう。それが写真向上に繋がる」と、思いを定めたみたいだ。

 「対」でいろいろ悩んだから、「対」が頭を離れない。「対」が写真風景の一つに埋め込まれたようだ。だから、」この賛助出展は「自分の再確認」にもなっているだろう。


 千葉貴文は大学の先輩・阿部雄を全面的に信頼しての参加だろう。「丸島均」が何者かは問わない。こうして作品を作れた、見せれた、参加したことを素直に喜んでいる。
 その喜びが素直に伝わる「鉄塔」作品だ。
 「この鉄塔のように凛々しくありたい。美しくも。でも・・僕に出来るかな・・」



吉田切羽の場合
 (Midonight Lamp 写真研究所)
 




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   ↑:「あの夏のGOGO」。



 実は、僕の我が儘からの出品だ。本当にギリギリでの参加で、本人としては不満足な出品だったと思います。無理強いしてすいませんでした。でも、やっぱりここに吉田切羽作品があって大正解だった。展覧会が引き締まった。

 吉田切羽は表情の撮り方が素晴らしい。生き生きしている。特に女が良い。・普通の表情なんだけど、その普通さが、やけに男のロマンス心を波立たせる。ひな壇に飾る美や、理想化されたものとは違う。おそらく、被写体の生活感なり生きる息吹に感応してパチリといくのだろう。当然、吉田切羽自身が抱く女性への憧れがシャッターを押す力を後押しするのだろう。



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by sakaidoori | 2016-05-24 20:31 | 群青(2016)


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