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栄通記

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2015年 02月 20日

2464)「岡田敦 個展『MOTHER-開かれた場所へ』」 cai02 10月5日(土)~10月12日(土)

   


岡田敦個展 
 
MOTHER-開かれた場所へ
  

     

         
 会場:CAI02
      中央区大通西5丁目 昭和ビル・B2 raum1    
      (地下鉄大通駅1番出口。
    ※注意⇒駅の階段を下りてはいけません。
          昭和ビルの地下2階です。)
     電話(011)802-6438


※ オープニング パーティー⇒2月14日(土) 19:00~22:00 


 会期:2015年2月14日(土)~2月28日(土)
 休み:日曜・祝日
    ※2月21日(土)は演奏会のため、展覧会は休み  
 時間:13:00~23:00
      

ーーーーーーーーーーーーーーー(2.20)




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 見方としては入口から壁なりに進んで見るべきだろう。実際、そうやって僕は見た。
 裸婦の妊婦姿があり、いささか大仰な額に出くわして女のアップ顔を見て、不思議めいた自然が続く。そして・・・出産時のクライマックスへと作品は進む・・・アッ、性器から黒髪の頭が出ようとしている。白い医療用手袋が写真に優しく納まり、「正に分娩時」と呟いている。女ー性器ー赤ちゃんー白い手袋、「母」をこう表現したのかと、リアルな姿に驚く。


 その後半からいく点かまとめながら載せていきます。全ての視覚感覚は、性器がらみの赤ちゃんシーンに集中してしまうから。



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 気になる出産シーンを載せます。



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 被写体としてはちょっとした驚きだ。生まれいずる瞬間の接写だ。

 だから、女性器もしっかり見える、赤ちゃんの黒髪も見える、白い手袋がまるでマジシャンのようにして赤子の姿をあぶり出している、そして赤ちゃんの顔がしっかり見え始める、誕生だ。
 女性器露わな姿に驚き、美しい手袋に驚き、赤ちゃんに驚く。その主役の「母ー母体」は感覚からするりと抜けている。余韻をかみしめるようにして会場作品を追いかけていくと、やっと「女」に出会う。だが、母体特有のおっとりした表情ではない。どこか突っ張っていて、母と女の格闘をしているようだ。いや、母とか女とかの役割からずれた存在に見えてしまう。当然その姿は撮影者の意志と意図だろう。演出だ。


 出産、写真作品の一連の流れはどのくらいの時間が経っているのだろ?すんなり生まれる場合は幸いだ。一気に「おぎゃ-」と泣き叫び、周りの親族は笑顔と安堵で緊張が解ける。
 それに、写真は時間を止める。もし、父親が立ち会っていても、この写真を見るような感覚とは違うだろう。ここには100%の視覚感覚と時間を止めての知と記憶がある。分娩時は時が支配する。出産という異常事態に判断力は何処かに行き、ただただ事態の進行を臭いと伴に眺めるだけだろう。




 自分の長男の出産時を思い出した。確か仕事が終わる午後5時頃だったか、公衆電話で出産の様子を病院に尋ねた。「今、頭が見えています。なかなか出そうもないです・・・器具で引っ張って取り出します・・・」
 今から35年ほど前のことだ。携帯電話もない。立ち会い出産など考えもしない頃だった。トイレにある吸盤のような器具で息子は出生した。

 最近、孫が二人産まれた。一人目は長男のお嫁さんが出産。二人目は長女の出産。
 その長女の時、出産近くまで彼女の側にいた。分娩室と控え室を兼ねた部屋だった。娘は陣痛でうめき始めた。僕以外に身内はいない。仕方がないから、腰のあたりをさすってあげた。すると娘は気持が良いという。どれくらいさすってあげたか?父と娘の不思議な時間だった。




 露わな女性器を撮りこんでの作品化。嫌らしくはない。そのまんまの姿だ。皮膚、あるいは内臓につらなる肉としての性器、感応や妄想の入る隙間はない。
 あっけらかんな視線には困ってしまう。チラリズムとか、秘部とかがあるから妄想もたくましくなる。

 出産時の撮影と作品化、見たことはない。作品としての盲点を突かれたようだ。一般市民の目には届かなくても、芸術作品(アート)としては似たものがあるのか?



 この作品は道立近代美術館に展示される予定だった。美術館側の反対で反故になったという。露わな女性器が公共空間には不向きという判断だ。憲法でいうところの「公序良俗に反する」ということだ。もっとも法律論争は避けて自主規制で問題を処理した。撮影者は「表現の自由」を訴えている。美術館側の判断に、小さな波紋が関係者の間には起こったことだろう。

 美術館の愚かさには議論をする気にもなれない。撮影者の怒りはわかるが、かといって展覧会参加拒否までの実力行使はしていない。新聞にも彼は自己主張をしている。が、その新聞は女性器作品を載せてはいない。三者三様でむずがゆいアートシーンだ。

 「表現の自由のないところにはアートは育たない」という主旨の言葉を撮影者は訴えている。僕はそうは思わない。「禁忌」があるから人は興奮する。興奮が芸術を育てる。秘密があるから、秘密を秘密として芸術表現を高めようとする。女性器とそれにまつわる世界はその最たるものだ。

 今回、撮影者は「女性器」という秘密のベールを剥ぎ取った。その行為が新たな秘密を生めば幸いだが、我々はそこまでイマージネーションが豊だろうか?私は62歳で初老の段階だ。今は豊かな時代だと思っている。物質的豊かさは全ての秘密を剥ぎ取る。特に日本は秘密が少ない。芸術の低迷はその辺にもあるのでは・・。



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by sakaidoori | 2015-02-20 23:41 | CAI02(昭和ビル)


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