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栄通記

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2014年 08月 16日

2447)「河口龍夫 『真珠になった種子 音になった種子』」 門馬 終了/7月20日(日)~8月10日(日)

  
 
  
  


河口龍夫  

真珠になった種子 音になった種子
             

 

  
 会場:ギャラリー・門馬    
      中央区旭ヶ丘2丁目3-38
       (バス停旭ヶ丘高校前近く) 
     電話(011)562ー1055

 会期:2014年7月20日(日)~8月10日(日)
 時間:11:00~18:00
    
ーーーーーーーーーーーーーー(7.31)


 門馬邸全館を使った大規模な個展だ。河口龍夫氏は金沢美術工芸大学教授だ。金沢在住?、はるばるの来札で、しかも大量の出品、作家の並々ならぬ意欲を感じる。


 当館の各所でいろんな河口表情がある。しかし、メインは居間に鎮座した二つのインスタレーション作品だろう。両者を合わせた全体風景を撮り忘れてしまった。が、それぞれ独立したものと見て構わないだろう。



 (以下、敬称は省略させていただきます。)




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   ↑:(居間の出入り口ドアからの撮影。)




 奥の作品から載せます。




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 非常に窮屈に見えた。作家はきっと苦しんだことだろう。瞬時にそんな印象を受けた。
 果たして、作家がどういう展示体験を持たれたかは知らないが、「できればリ・ベンジしたい!」と心で叫んで帰ったことだろう。


 実は、ここ門馬邸ギャラリーは、個性を発揮するには札幌でも一番難しい場と思っている。

 二つの理由を考えている。

 一つは、場自体が個性がありすぎることだ。
 無味乾燥とは全く真逆で、光は入る、真新しい床は反射する、リッチである、段差もある、いろんな角度の角がある、2階に昇る階段もアール・ヌーボー的表情を持っている。それらを愛でながら、一人のんびりと作品と会話するとか、夜の暗がりで酒を肴に作品を友にするには良い場所だと思う。だが、ひとたび明るい公開の中では貴婦人のように場が踊ってしまう。そんな令嬢を影に感じながら作家は展示をするわけだが、そういう経験不足も重なり作家にとっては相当なプレッシャーだろう。

 一つは、リッチ空間だということ。
 欧米にあっては門馬邸ぐらいのリッチさはそれほど驚くには当たらない。だが、日本では、特に北海道では、このゆとりある贅沢さ、日常空間ではあるが現代建築の思想性が空間を覆い、アート堪能を前提にした邸宅など幾つあろうか?高価な調度品が常設されてはいないが、そういうもので満たされていても全く違和感はないだろう。
 そんな空間に北海道アート人は心底皮膚体験が乏しい。彼等の根っ子の美学は、ストレートでは金持ちを喜ばすほどのものではないだろう。
 原体験としてのリッチさ不足は仕方がない。問題は、そのことを意識して果敢に場作りに励む作家が乏しい事だ。難しい空間だからこそ、みんながいろんなアプローチとして取り組めば、そのことが経験の蓄積になって、門馬邸の可能性も拡がるだろう。



 河口作品の感想を書く前に、長々と門馬邸の特徴を書いてしまった。なぜそんな駄弁を先にしたかというと、そういう難しい場を、おそらく経験豊富と思われる河口龍夫がどう料理してくれるかを期待したからだ。
 だが、彼すらも令嬢的空間の個性に圧迫されたみたいだ。



 さて、「栄通記」本来の感想記を綴ります。

 黄色は放射能の危険性を表現しているのだろう。
 空き瓶のようなモノは廃棄物が連想され、津波大震災後の廃墟の象徴だろう。再生の願いも込めている。
 再生と言えば、貝がらによる円形はストーン・サークルが連想され、墓場に通じている。貝がらは真珠を抱いているから、サークル形の作品は死と再生なのだろう。

 音楽もある。ズバリ、ピアノが舞台になっている。鍵盤の間に作品を挟んで、音楽そのものを表現している。サークル形の作品も、音(音楽)の波長に見立てている。

 いささか説明調になってしまった。そういう作家の意図が視覚芸術としてドーンとこちらにくればそれでいいことだ。作品を前にして物思いにふけることができる。
 だが、あまりに河口龍夫は頑張りすぎた。それが「説明」になったと思う。なんとかして自身の思いを見る人に伝えたいのだろう。本当に真面目な方だと思う。

 一番面白かったのは貝がらに託す女性への愛だ。3.11事件を告発する姿勢よりも、「オレは女性が好きなんだよな。この貝がら、胎内回帰とかっこ良く言ってくれよ!何と言えばいいのかな~、おっかさんに包まれたいのよ。愛すべき人と一心同体になって宇宙を散歩したいのよ」、そんな異性への素直な憧れを感じてしまった。



 貝がらに託す作家の本音コーナーが2階にありました。やや多めですが載せます。作家のロマンがストレートに伝わるでしょう。それは、異性への永遠の願望だ。今展では、あたかも「コレクション」のようにしてそこにあった。余りに正直な喜びだ。




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by sakaidoori | 2014-08-16 23:26 | 門馬・ANNEX


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