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栄通記

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2013年 12月 03日

2319)「『霜月展』 竹中春菜 橋本つぐみ (藤女子大写真部)」 アイボリー 終了・11月26日(火)~12月1日(日)

      


霜月展  竹中春菜 橋本つぐみ 


藤女子写真部所属 モノクロ手焼き写真展示  
   

   
    
    
 会場:ほくせんギャラリー ivory(アイボリー)
      中央区南2条西2丁目 
      NC・HOKUSENブロックビル4階
      (北西角地、北&西に入り口あり)
     電話(011)251-5130 

 会期:2013年11月26日(火)~12月1日(日)   
 休み:
 時間:11:00~19:00 
     (初日は、15:00~。最終日は、~17:00まで。)


ーーーーーーーーーーーーーーーーー(12.1)


 藤女子大学写真部3年生の2人展。


 (以下、敬称は省略させていただきます。)



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 何という作品量!!しかもしっかりした大きさだ。
 ビックリした。嬉しくって仕方がなかった。

 今展は2人展。それぞれを見せるシーンもあれば、二人のまぜこぜ展示もあり。そして作風や白黒加減に極端な違いがないから、両者を一瞬で識別することは難しい。融合展という意図的試みでもなさそうだ。課題として指摘しておこう。
 写真技術や表現力のレベルが近い結果か。感覚を微妙に異にしながらも同じ路線を歩んでいるということか。

 ただ、被写体との関係で会場全体が入れ子状態になっている。それも、意図したものではないのだが、悩ましくもあり関心を惹く。というのは、竹中春菜は橋本つぐみのモデルでもある。橋本つぐみ作品の女性は同じモデルだから統一感がある。その統一感と当日会場でお喋りした竹中春菜の実像が虚像と重なり、何とも言えない統一感、不思議感が会場で生まれていた。


 
 
 始めは入口付近の自己紹介的コーナーです。藤女子大学写真部での発表作品を連続的に並べて自己紹介している。全体のイントロです。


 



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 上段の青テープが竹中春菜
 下段の桃テープが橋本つぐみ。  



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   ↑:竹中春菜



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   ↑:竹中春菜



 竹中春菜、トイ・カメラで楽しんでいたが昨年入部してからの本格的写真活動だ。
 写真作品の女性、おかっぱヘアーに黒衣装、ロングスカートに重めの靴、顔無しワールドで微妙なムードを発散させている。モデルを撮っているのだがほとんど自画像気分だ。というのも、本人の会場スタイルを見ればすぐわかる。おかっぱスタイルで全く同じムードだ。

 そういう彼女を橋本つぐみはモデルにしている。その気持ちはよくわかる。個性的なムードを持っている。真っ直ぐ立っていてもちょっとゆがんでいる感じ。どこか遅れ気味の時間を発していて、メロディーは短調傾向。暗い人ではないが、井戸から這い上がるような暗めに撮りたくなる。橋本つぐみの問題意識、「女」、「女の子」、「女という性」、を煮詰めさせる存在だ。





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   ↑:橋本つぐみ



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   ↑:橋本つぐみ



 女が撮る「女の思春期」だ。閉じこもりたい、顔を見せたくない、永久に一所に・・でも、生きているというムードだけはしっかり発したい・・・そんなグチグチした悶々の世界だ。
 若き男にも思春期はあり性の悩みはある。その悩みの対象は女だ。ところが橋本つぐみの悩みには「男という性」の影は薄い。間違いなく性的悩みを抱いてはいるだろうが、写真テーマからは除外される。「男」は追求する世界ではないのだろう。




 イントロが長くなった。これからが本番だ。
 次の塊は後にして、個展コーナーを載せます。



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   ↑:竹中春菜



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   ↑:竹中春菜、「あの夏のこと」。





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   ↑:竹中春菜、「夜の散歩」。





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   ↑:竹中春菜、「迷い子」。




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   ↑:竹中春菜、「水際」。







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   ↑:橋本つぐみ




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   ↑:橋本つぐみ。左から、「Fashion magazine」、(次の3点)「time」、「I do it」。



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   ↑:橋本つぐみ、「忘却してゆくこと」。




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   ↑:橋本つぐみ、「乱雑なあえか」。




 ロマンス・ストーリーだ。基本に「ロンリー」というのがあって、空気や周囲を取り込んでの心象世界だ。こういう物語性の好き嫌いは別にして、少し一本調子な感じだ。彼女への期待度が大きい分、物足りなさも感じる。焼き具合というのか、色の深み浅み、クリアーさやボケ具合とか、いろいろな綾を駆使しての心象世界を見たい。・・・好みとしては、もっと自己耽溺に陥ればと思う。耽溺する強さがあればと思う。この中に恐いほどの美しい写真があれば、あるいは淡くともレスビアンを強く感じるものがあればもっと感情移入できたと思う。やはり表情が欲しい。顔に迫る訓練も大事ではなかろうか。
 少女から大人への踊り場、そういう過渡期をもっと楽しませて欲しい。
 そうこうしている間に「大人の性」が入ってくるかもしれない。期待しよう。






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 これは完全な融合展だ。識別しようとすれば大変だが、それなりに全体として楽しめる。モデルのいる作品が橋本つぐみ、作品に余計なミミや枠を感じるのが竹下春菜だ。「橋本物語」に、付かず離れずに「竹中風景」が寄り添っている。




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   ↑:竹中春菜、「ロンリネス」。



 竹中春菜はトイ・カメラを楽しんだという。それだからか、頑張って撮る時は背景の模様というか、風景の凸凹とか、明暗とか、構造とかへの感知度が高い。そういう背景の中で被写体としての人物などが入るのだが、どうしても「入る」という感じで存在が軽い。上の作品は上手くいった。背景と人物が互角に戦い溶け合っている。

 被写体にもっと迫りつつ、そこに竹中背景が包み込むなりアンバランスな調和世界を作る、そして個性的な世界を築いていく、そんなことを思った。いずれにせよ楽しい闘いは始まったばかりだ。その遊び心と一点を見つめる真剣さに期待しよう。






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   ↑:橋本つぐみ、「neon」。


 今展で一番好きな作品でした。




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   ↑:橋本つぐみ、「無題」。



 今展で一番気になった作品でした。




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   ↑:竹中春菜、「春待ち-大通にて」。



 
 残したコーナーを載せます。



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 上下左右と、4つのテーマで構成されている。それぞれのテーマにそれぞれが展示していて、どれが誰だかは分かりにくい。目録があるのでそれで確認する。それもまた楽しだ。



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   ↑:竹中春菜




 もっと写真を載せて二人をあぶり出したいが、既に随分と載せてしまった。

 最後は、二人の笑顔で別れましょう。




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 追記:

 僕は学生写真展にたいして、「大きく、沢山!」と言い続けている。まったくそういう写真展だった。僕の空念仏が彼女たちに届いたのだろうか?

 もちろん、「大きく沢山」出品すれば、技術不足、表現不足、展示方法の問題点など、数え上げたらキリがないほど未熟な面が露呈する。この2人展も、内容において他人をググッと引き込ませる魅力があるかと言えば疑問が山積みだ。それで良いのだ。たかだか二十歳前後で、一般人をうならせる写真展などムリなのだ。今のあらん限りの能力を吐き出せばいい。
 これだけしても展示を終えれば発表者自身が不満を抱くだろう。しかし、やりとげた満足感は残る。そもそも、いくら頑張っても「何の為の写真?」という自己問答の世界が解決されるわけではない。やらざるを得ない自分を発見するだけだ。

 今後、この二人が大きく大成するかはわからない。先のことは誰も分からない。問うべき問題ではない。今をしっかりやった人間は素晴らしいと思う。それは年齢の問題ではない。そして若人は密度の濃い時間の中にある。その濃さを発表という形に変えて欲しい。期待するところ大である。


 お二人へ。次回というか機会があれば小なりとも個展でしょう。やはり孤独を経験しないといけない。また会いましょう。
 

by sakaidoori | 2013-12-03 01:04 | 北専・アイボリー


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