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栄通記

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2013年 10月 05日

2243)「北海道抽象派作家協会秋期展 13' 第三十七回」 時計台 9月30日(月)~10月5日(土)

    


13' 第三十七回

 北海道抽象派作家協会秋期展
 




 会場:札幌時計台ギャラリー
    中央区北1条西3丁目・札幌時計台文化会館
    (東西に走る仲通りの北側のビル)
    電話(011)241ー1831

 会期:2013年9月30日(月)~10月5日(土)
 時間:10:00~18:00 
     (最終日は、~17:00まで)

 【参加作家】
 同人:今庄義男 後藤和司 佐々木美枝子 鈴木悠高 名畑美由紀  林教司 三浦恭三  

ーーーーーーーーーーーーー(10.4)


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   ↑:佐々木美枝子


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   ↑:佐々木美枝子、「作品B」。


 「ピンクの佐々木美枝子」だ。
 今年の春展から、ピンクのムードが変わった。一口に言えば、情念としてのピンクから、風景あるいは心象としてのピンクが強くなった。穏やかなピンクだ。

 ある鑑賞者が、上の作品を見て「海を見ているようだ。港だ。ほれ、あれが護岸で、この白が灯台で、水平線があり、空も。これで青色だったら完全な海だ」

 海をイメージして描いたかは問わない。でも、激しさを向こうに押しやり、ピンクという原風景を楽しんでいるようだ。




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   ↑:後藤和司、「9月のScene」。


 季節の情緒を表現しているのだろうか?タイトルの「9月」、自然なのか、心象なのか?
 落ち着いて淡々と絵に取り組んでいる。


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 色とい面の世界で線が走りあっている。面と線の出会いの場、あるいは出入り口として窓を作っている。アクセントとして乳首のような勃起物を規則正しく配置している。
 変わらぬ日々、そこに小さなさざ波が起こるとも、再び戻る変わらぬ日々・・それが作家にとっての9月なのだろう。




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   ↑:名畑美由紀、「情」。


 あー、名畑美由紀も悩んでいるんだなー、とつくづく思った。

 今作は正統絵画への回帰だ。遠くから見ると、夕焼け風景だ。黒ずんだ色も橙色に染まり、グラデーションに幅を持たせている。懐かしき日々の、夕焼け空だ。
 いつも僕は彼女の絵を「変な作品」と語っている。が、今作は200%の標準仕様だ。風変わりさは全くない。
 では良い絵担ったか?今後、さらなるマチエールや雅品を追い求めるならば、その記念的作品になるだろう。

 今回、遊び心やリズムや爽やかさ、変さ加減は一切封印して、正直絵画に取り組んだ。しかも相当古典的に原点に返ってみた。もともと普通に描けばそれなりの上手さを発揮する人だ。しなやかでリズミカルな美しさを。ただ、大作となるとスンナリとは行かないだろうが。

 さて、今後もこの路線を当分は行くのか?見守るしかない。




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   ↑:鈴木悠高、「MIDORI」。


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 「黄色の人・鈴木悠高」から黄色が消えた。捨てたのだ。おそらく綠の必然性はないだろう。黄色から一端離れることが重要なのだ。

 なぜ黄色を捨てたか?そう言い切れるのか?

 確かに画家は黄色が好きだ。間違いなく一番好きな色だろう。その追求する姿勢、今までの成果は思いつきで「黄色を描き続けようかな~」ではない。大いなる問題は、その色に特化する必然性がなさ過ぎた。

 特化した理由は、
 ①画家としての戦略。「黄色の人・鈴木」と呼ばれることだ。自分に対する自己規制だ。
 ②色自体の探求として好きな黄色を選んだ。
 ③描き続ければ、好きな色だから楽しいし、安心感も生まれるし、「色」もより分かってくるかもしれない。
 ④修行的絵画になりがちだから、「絵画とは何か」、「描くことはどういうことか」、「画家とは何か」が日常課題になる。

 致命的な欠陥は
 Ⅰ、そもそもカラーマン的要素のある人で、一色を長くやるには飽きるし無理がある。
 Ⅱ、黄色を選んだ欠点が露わになった。黄色のみではグラデーションや勢いなどの変化に乏しい。もちろん、厳密には可能だが、繊細な微差の追求になり、ある種耐え難い世界に突入する可能性がある。
 Ⅲ、④の裏返しとして修行絵画になりがちになる。修行も良いのだが、「描く楽しさ」が無くなる。それでも「画家」と言えるのか?


 そんな理由で、第2に好きな色かどうかは知らないが「綠」を選んだ。そして色味の幅や勢いを、力任せにやりまくった感がある。黄色への欲求不満の反動だろう。

 画家の生き様は長い。当分はこの勢いと色変化を見ることになるだろう。



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   ↑:林教司



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   ↑:林教司、「ECLIPSE」。


 鈴木悠高が黄色の人を止めたら、「鉄の人・林教司」が、黄色で勝負にきた。本当に氏が描いた黄色なのか?失礼だが、デザイン的であっけらかんとした黄色だ。色の性質上輝いてはいるが、深みはない。
 一方、円形の内部は、いかにも林教司らしく粘着的世界が強いバリアーを生み、独特の小コスモスを形作っている。しかし、そのコスモスも黄色に食べられそうだ。

 タイトルの、「ECLIPSE」は暗示的だ。①(太陽や月の)食。②光の消滅。③(栄誉、名声などの)失墜。
 作品の黄色の自己主張とは真逆のタイトルだ。黄色を使うことの恥じらいと勇気を語っているのか?



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   ↑:左から「種子シリーズ 1」、「種子シリーズ 2」。




 5人を語りすぎました。以下、写真中心に行きます。


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   ↑:今庄義男。「古里シリーズ イロハニ」


 ちょっと全体の写真写りが悪いので、言葉に代えて全作品を載せます。


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 左側の作品、輪郭不鮮明で、今までにない独特の世界です。「古里(コリ)」が土に還ってしまった。



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 可愛くもあり、楽しくもあり、しんみりともします。それが今庄ワールドということでしょう。




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   ↑:三浦恭三、「連鎖1」、「連鎖Ⅱ」。


 何と言っても水色が爽やかだ。影に見える黒い幾何学模様も水色に溶け入りそう。表面の濃い模様も、背景の水色と戯れている。「連鎖」と強く呼ばなくても、全ては水色に還りそう。それでも「溶解」ではいけないのだろう。水色の海で、全てが絡み合い包み合い、一つの世界に還元させたいのだろう。

 画家は水色に命を燃やして、色々と楽しんでいる。遊びの極みのような黄色を発見した。見て下さい。



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by sakaidoori | 2013-10-05 07:30 | 時計台


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