2013年 03月 11日
2013 画遊人 会場:札幌市資料館2階第1・4室 中央区大通西13丁目 (旧札幌控訴院。 大通公園の西の果て) 電話(011)251-0731 会期:2013年2月13日(水)~2月17日(日) 休み: 時間: 9:00~19:00 (最終日は、~17:00まで) 【参加作家】 越後光詞 佐藤正行 東志青邨 別府肇 松家史子 松田研 三宅悟 ーーーーーーーーーーーーー(2.15) 1929番①の続き。 (以下、敬称は省略させて頂きます。) ①では7人参加の中で、4人の作家を載せました。今回は残りの方です。そして、別室の会場風景も載せます。 陽を背中に浴びて、しっとりと自己主張している。この展示空間、作品が追究している「磁場」を演出しているようだ。 一原有徳の影響は一目瞭然だ。これが版に携わる「小樽派」というものかもしれない。ただ、有徳は遊びを道連れにして激しく強く追い立てる。同じような抽象世界だが、定点を見つめる謙虚さにすり替わっている。焦ることなく淡々と空間における窓を、境界を、磁場を見定めている。しかもやさしい。 その優しさに時空の神様が応えてくれた。陽を当て、作品を包み込むようにしてどこかに連れて行きそうだ。微笑みながら一緒について行ってくれるかもしれない。 ※※※※※※※※※※ この作品も射し込む陽ざしとの親和性が強い。しかも、前回の別府肇よりも劇的だ。外光の強弱の激変に異様に反応する。強く陽を浴びた瞬間、画面が一斉に水面のような輝きを発する。おそらく、その輝きの正体が三宅悟の追い求めているものだろう。 三宅悟のテーマははっきりしている。宗教的精神性だ。画題としてキリストや仏陀の足跡を描くことではない。(氏のキリスト画など見たことがない。)画面の局所局所、さらに画面の部分部分、さらに画面の全体から絵として発する宗教的精神性を追い求めている。 あー、しかし「宗教的精神性」とは何だろう?日本人一般にとって、これほど感知しがたい世界はない。 三宅悟は正直な人だ。宗教画でこれ見よがしの精神性を主張しない。あたかも自然礼讃という形を借りて、氏自身が絵画で追い求めている「あらぬ世界」を提示する。 三宅悟は屈折しているのかもしれない。「あらぬ世界」を信じている人だが、画面にダイレクトに主張しない。こっそりと、木々の隙間や空気の中に隠しがちだ。比喩や暗喩なども使うことをしない。秘密を垣間見せない。 だから「画遊人」なのかもしれない。このネーミングは彼に一番あっている。 ※※※※※※※※※※ 氏は写真もする。共通するのはお洒落に器用にまとめる点だ。そして、「写真や絵画って、こんなものだろう」という決めつけを感じる。つまり、作品と格闘する姿勢が薄い感じだ。いや、本当は制作に迷いがあるのだが、シャイな性格とおしゃれ感覚が邪魔をして、ついつい無難なところでまとめてしまう。遊んでいるようにみえて、もっとも遊びからは遠い。 実にもったいない作家だと思っている。本来は遊び感覚を十二分にお持ちなのに、いざ制作となると遊びは入り口止まりで、結果という出口にサッサと行ってしまう。先が見える人なのだろう。「過程」という軌跡を見せないようにしている。「過程」、これが美術作品を見て親しんで格闘する楽しみだと思っている。 ※※※※※※※※※※ 当館第4室でも展示していた。 その様子です。 何点か紹介すべきなのでしょうが、一点だけ載せます。 いつになく画面中央に目が行く構図だ。ビシッと「ここを身よ」と、示している。他にも所々に人群れのようにして木々がある。葉の一枚一枚が重なっている、うねっている。その葉の隙間隙間に意識が惹かれる。三宅タッチの独自の色の重なりが何とも悩ましい。そこかしこに、色と色との間に何かがあるようだ。
by sakaidoori
| 2013-03-11 22:59
| 資料館
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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