人気ブログランキング | 話題のタグを見る

栄通記

sakaidoori.exblog.jp
ブログトップ
2012年 11月 08日

1863) ②「自我の形象展 11th」 たぴお 11月5日(月)~11月10日(土)


自我の形象展 11th             
    

 会場:ギャラリーたぴお
      中央区北2条西2丁目・道特会館1F
      (中通りの西側の郵便局のあるビル。)
      電話・林(090)7050-3753

 会期:2012年11月5日(月)~11月10日(土)
 休み:日曜日(定休日)
 時間:11:00~19:00

 【参加作家】
 柿崎秀樹 森山誠 竹内はるみ 井村郁子 藤川弘毅 名畑美由紀 田中季里 林教司・・・以上、8名。
   
ーーーーーーーーーーーー(11.5)

1863) ②「自我の形象展 11th」 たぴお 11月5日(月)~11月10日(土)_f0126829_161388.jpg


 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


1863) ②「自我の形象展 11th」 たぴお 11月5日(月)~11月10日(土)_f0126829_163927.jpg
     ↑:井村郁子


 全く驚きの作品だ。新道展とかグループ展で名前はしっかり覚えている。人物などを画く堅実な画家、という印象だ。なのに、完璧な抽象画ではないか。思わず、「どうしたの?」と、尋ねてしまった。「自我の形象展ですから」と、小柄な体を愉快そうに揺らしながらの返事だ。「画材は?」「水彩にパステルで、塗り重ねています」それにしても、紫一色だ。厳密に言えば、青系の色を中心にして幾つかの色が重なり、「紫」に見えるのだろう。
 新道展でのやさしく愛情を込めた人物画も井村郁子だ。うって変わって、完璧抽象画で心象風景とも人生行路と見える絵も井村郁子だ。それは表向きの顔と、ひょっこり見せる内向きの顔の違いかもしれない。抜群にこちらの抽象画の方が面白い。この日見た「井村・紫」、忘れないだろう。
 それにしても、こういう女性の豹変スタイルには参ってしまう。彼女はそれなりの年配で、目立ちたがり根性の持ち主ではなさそうに見える。楚々として気持ちの良い方だ。なのに、この精神の自由さ!素直な感情表現!やはり、女性の時代なのだろう。


1863) ②「自我の形象展 11th」 たぴお 11月5日(月)~11月10日(土)_f0126829_131456.jpg
          ↑:竹内はるみ、「旅の途中」

 単なる物としての画題ではないだろう。深い思い入れのある品々だろう。事情は知る由もない。タイトルの「旅の途中」に、いろいろと想像したくもなる。

 僕は竹内はるみのボリューム感が好きだ。フックラとした豊満さ、色気とかそういうことではなくて、女性の安定したたたずまいを連想してしまう。


1863) ②「自我の形象展 11th」 たぴお 11月5日(月)~11月10日(土)_f0126829_1403053.jpg
          ↑:藤川弘毅


 写真家の藤川弘毅。
 最近の氏のスタイルは、写真を発表していても写真は脇に追いやられ、写真を覆う廃品が表現の中心になっている。いわゆる、廃品による造形作家と呼ぶべきだろう。
 しかし、今回は久しぶりに写真がメインだ。しかも、あまりにもメインになりすぎていて、失敗のような成功のような、愛すべき作品になっている。
 何が愛すべきか?カラスの背景の「青色」を見て欲しい。僕でもこの作品がデジタルだと見分けることができる。つまり、カラスの黒を強調するために、氏は青色の階調に拘りすぎた。これ見よがしの青になってしまった。それはカラスへの愛であり、鑑賞者へのサービス精神だろう。
 確かにこの過ぎたる行為は写真作品の質にはマイナスと指摘されるかもしれない。だが、「青」を通した素直な愛が伝わるではないか。それは作家の本意ではないかもしれない。この本意ならざる結果が面白く、愉快である。

 青に輝くカラスが生き生きしている。飛び立つ直前のカラス百態、カラスに魅入られた撮影者の心そのものだ。



1863) ②「自我の形象展 11th」 たぴお 11月5日(月)~11月10日(土)_f0126829_211769.jpg
     ↑:林教司、「4days」

 日々の生活を芸術にしている人だ、林教司という人は。しかも、格好いい。
 「ダサクだ」、と本人の弁。自己弁護を含めた本心だろう。そうかもしれない。だが、「ダサクだから詰まらない作品」と言っているのではない。「オレの作るものは全て芸術だ。ダサクだから心して見よ」とも言っているのだろう。
 一種のイメージ・トレーニングの作品だと思う。だから、我々はセンスの良い作家の、イメージの軌跡を垣間見たこと、そのことを喜びとしたい。大きく作品として開花した時、その時このボトルシリーズの何たるかがわかるかもしれない。

by sakaidoori | 2012-11-08 11:49 | たぴお


<< 1864)「収蔵品展 『岡部昌...      1862) ①「自我の形象展 ... >>