栄通記

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2012年 03月 08日

1650) 「栗田健・絵画展 『Portrait』」 af 終了・2月21日(火)~3月5日(月)

   
○ 栗田健・絵画展 
     『Portrait



 会場:札幌アリアンス・フランセーズ
      中央区南2条西5・南2西5ビル2F
       (入口は西向き。
       エレベーターでのみ2階へ。)
      電話(011)261-2771 
 
 会期:2012年2月21日(火)~3月5日(月)
 休み:日曜日・祝日(定休日)
 時間:10:00~19:00
     (月曜日は、12:00~19:00。土曜日は、10:00~18:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーー(3.5)

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 作品は2部構成だ。黒い線描の似顔絵と絵画群だ。


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 今展は似顔絵が面白い。ほとんどはモデルを目の当たりにした早描きなのだが、いろんな運筆がある。踊るような輪郭線、空間を切り刻むような線、落書き風の意味不明な線描などなど、多くの作品を一気に視野にできる。小さい絵の集合なのだが、全体が大きなうねりとして目に迫ってきて、思いのほか迫力がある。

 私好みのみですが、大きく載せます。

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 ロマン、激情と、モデルにより、自分の調子により、いろんな線を愛用している。「人物が空間から涌き上がる」、というイメージみたいだ。先走って言えば、「湧き出る」が栗田絵画の基本だと思っている。


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 これらは、ライブにおける臨場感を表現したとのこと。暗闇での絵描きの絵メモだ。意味不明ではあるが、他の線描画の中にあって、リズムやアクセントになっている。画家の隠れた表現を見るのには良い材料だ。


 何かの展覧会で、「全てはデッサンから生まれる」という言葉を読んだ。それにならえば、「全ては線から始まる」と言いたくなる。太い線、細い線、弱い線、強い線、神経質であったり悩みながらの走り描き、感情直裁型や感情拒否型の構築物などなど、分類すればキリがない。概ね発表以前の場合が多いから、上手い下手をこれらの線に問うのは無意味だ。絵画の楽しみからは最も遠い。
 線からある程度の距離をおいたものが絵画だろう。もちろん、線=絵画という表現者もいる。が、完全に線=絵画という作家はいない。なぜなら、線は空間を生むが、絵画は空間を初めから含んでいるからだ。空間を前提にして絵画は成り立つと思っている。


 さて、空間表現に留意しながら栗田絵画を見て下さい。

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          ↑:「ポートレート 12-1」・水彩。

 パッチリと目を見開いて、そこにいる。
 氏はイメージ画家だと思う。だが、茫洋としたイメージに身を任せる感じではない。この目に現れたように、強い視線で絵画世界を見つめ、強くイメージを立ち上げたいという願望の持ち主だと思う。


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     ↑:(左から)「ポートレート 12-2」・水彩 水彩紙、「写真 12-2」・水彩 水彩紙。

 「写真」というタイトルが象徴的だ。暗室でいろいろと加工されて写真が生まれる。「この作品は『栗田健』によって加工された結果だ」と、いいたいのだろう。紙(支持体)に、見えないものが見えるように涌き上がってきた。


 会場全体を見てもわかるように、少数の作品が沢山あってうるさいくらいだ。壁全体がリズムやハーモニーを生み、音楽になっていればいいのだ。氏のロマン主義も良い味付けになっているだろう。
 湧き出るイメージの深みと幅、しかも「強くあれ」という強情さ・信念をもを楽しむことができた。


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by sakaidoori | 2012-03-08 00:03 | af | Comments(7)
Commented by kurita at 2012-10-28 16:05 x
栗田です。半年以上日が空いてしまい恐縮ですが、ご来場ありがとうございました。

文章を拝読させていただいて何点か疑問に感じる箇所がありましたので、発表側として記述させてください。

>線からある程度の距離をおいたものが絵画だろう。
そうとは言えないと思います。

>線は空間を生むが、絵画は空間を初めから含んでいるからだ。
ちょっと認識があべこべに感じます。サイトゥオンブリの線描画やピカソのエッチングやマティスのクロッキーは絵画ではない?

>氏はイメージ画家だと思う。
「イメージ画家」とはなんでしょうか。いわゆる「具象画」を描いている画家は「非イメージ画家」ということ?

>氏のロマン主義も良い味付けになっているだろう。
「ロマン主義」とはなんでしょうか。

ちょっと過去の記事の指摘をすみません。機会があえば、ブログ内でも、またお会いできたときでも、お話うかがえたら幸いです。栄通さまの私見を盛り込んだ記事はいつも楽しく読ませていただいてます。
また度々のご来場感謝しております。今後ともよろしくお願いいたします。
Commented by sakaidoori at 2012-10-29 00:02
> kurita さんへ①

 あくまでも僕が思ったことを、あえて言い切り表現にしたものです。認識の誤謬や理解不足は多々あると思います。

>線からある程度の距離をおいたものが絵画だろう。

 そう思っています。
 線の瞬間性や直接性、線を引く意志力と、それと相反する偶然性。絵画の時間性や粘着性、構想力と意図性の強さ、などを前提にした言葉です。比較して書きましたが、決して線と絵画が敵対するとか、別のものとかを言っているのではありません。違いはこういう所かな、と、漠然と思っていることです。

 それと、線画も絵画ということを前提にしています。線の自立性の高い絵画を線画と呼びたいです。
 ピカソやマティスを例にしなくても、線のみによる下絵、デッサン、児童の鉛筆画、線による落書き、本格的線描画などなど、全て絵画と思っています。


Commented by sakaidoori at 2012-10-29 00:08
 (①の続き。)

>線は空間を生むが、絵画は空間を初めから含んでいるからだ。

 そう認識しています。
 先ほど言った線画と、絵画の違いは何か?ということを考えた一応の結論です。
 「線画とは何か?」を考えていく中で、今後、認識を変えると思いますが・・・。
 一本の横線を入れること、そのことによって空間は分割されて、絵画に飛躍したと思っています。線の力です。それは線の魔力といってもいいかもしれません。
 一本の横線を水平線と感じるか、棒を思うか・・・いずれにせよ、イメージの飛躍、誕生、喚起だと思っています。その点、絵画は画家の中にイメージが先行し、そのイメージの輪郭や方向性や肉付きを与えるのでは、そんなことを感じています。
 栗田さんは画家ですから、僕の感じていることや言っていることはお門違いです、といわれればそれまでです。そんな風に作品を見ている人がいるんだと思っていただければ充分です。見る行為は画家自身の自己規定をなぞるものではないでしょう。


Commented by sakaidoori at 2012-10-29 00:19
 (再び続き。)

>「イメージ画家」とはなんでしょうか。

 具象画とはあくまでも画題あるいは描かれた対象に焦点を当てた言葉で、「具象=非イメージ」とは思っていません。
 模写や事物の再生を描いたのでなければ、全ての絵は画家のイメージが下敷きになっていると思っています。画家のイメージの皆無な絵はないのでは。ただ、事物や存在にウエートを置いて、事物に即して表現した場合はイメージ画とは呼ばないようにしています。画家自身がイメージ画と言いたければ、それはそれで構わないでしょう。あくまでも、その絵の理解のための方便としての「イメージ画」というレッテル化です。 そして、「イメージ画」とは、画家の観念、想念、空想などが一人歩きしているような絵、そんな風に見える絵、とりあえずはそう表現しておきます。

 だらだらと思いつくままに書きました。お返事になっているかどうか?

 実は、栗田さんのような指摘をされたらどうしよう、と、常々思っています。本当のところは明快な言葉が見つかりません。それを見つける作業、それが当ブログの実体です。

 ありがとうございました。
Commented by kurita at 2012-10-30 15:33 x
すみませんお返事数回読んでみたのですが理解のできない論理や文章も多くて、でもおそらく率直な解説とお返事ありがとうございます。

これまで「指摘をされたらどうしよう」と思われながら、思いつくままにぼんやりとした主観にまかせた文章をアップされてこられたのでしたら、なおさら自分のこと書かれてるところはどんどん気になる点を指摘させていただかないと、と改めて思いました。
『見る行為は画家自身の自己規定をなぞるものではない』書かれていますが、私もそう思います。 
文を読む行為も筆者の自己規定内の部分は他人は理解できないし、どちらもコミュニケーション成立しませんよね。
ですのでまた時間のあるとき返信させて下さい。
Commented by kurita at 2012-10-30 15:47 x
あと「ロマン主義」についても解説していただけませんか。私がロマン主義、ということに文章中なっているのですが、ちょっと思い当たるところがないので・・ よろしくお願いします
Commented by sakaidoori at 2012-10-31 18:05
>kurita さんへ

 「ロマン主義」ですね。

 栗田さんに即して言えば、「栗田さん独自の詩情」ということを言いたかったのだと思います。「主義」という言葉があるから、「栗田さんはロマン主義者だ」と誤解を受けたかもしれません。普通に「詩情」とか、「ポエム」と書いた方がよかったかもしれません。

 今読み返しても武骨な文章だと思います。我ながら何とかならんものかと思いますが、これが僕の文章力ですから仕方がありません。もう少し言い回しを替えればと思いますが、自分としては思ったことや感じたことをチャンと明快に言い切っていて、満足しています。

 一般的に「ロマン主義」をどう思っているかも書けばいいのでしょうが、前回のお返事のような言葉が続いては面白くないでしょう。


 コメント、ありがとうございました。今後も作品鑑賞、宜しくお願いします。


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