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栄通記

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2011年 05月 22日

1561)①「北の日本画展 第26回」 時計台 終了5月16日(月)~5月21日(土)

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○ 第26回 

     北の日本画展
  


 会場:時計台ギャラリー 2・3階全室
      中央区北1西3 
       札幌時計台文化会館
      (中通り南向き)
     電話(011)241-1831

 会期:2011年5月16日(月)~5月21日(土)
 時間: 10:00~18:00 
    (最終日は~17:00まで。)

○ 深川移動展 

 会場:深川アートホール東洲館
      深川市1条9番19号深川市経済センター2階
      (JR深川駅を降りて直ぐ左側のビル)
      電話(0164)26-0026

 会期:2011年6月1日(水)~6月15日(水)
 時間: 10:00~18:00
 休み:月曜日

 【参加作家】
 総勢、52名。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー(5.20)

 当館、全室あげての大展覧会だった。
 2階は大きい作品が中心、3階は小振り。先に見る2階の大作に時間をかけてしまい、3階はお座なり気味になってしまった。華やかな具象画の世界だ、しかも52名という作家数と多数の出品数だ。全室、全作に気配りするのは、こちらの実力を越えた技でもあった。

 追っかけている作家、気になる作品を中心に、会場風景を交えながら記していきます。10名以内の報告になると思います。


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     ↑:(以上、2階C室の様子。)


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          ↑:富樫はるか(札幌)、「碧(あお)の中の明」・F40 100×80.5㎝。


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 少し地味なC室。そんな中で、当日当番の富樫はるか さんに会えた。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)

 
 碧(あお)い世界に光が入り、詩情やロマンを目的にした作品であろう。そこに、直線が織りなす緊張感が良い刺激を醸し出す。
 この絵で、線をどう案配するかは重要な課題だ。「水平線の位置と、線質はこれでいいのか?灯台の太さはどうか?灯台の灯りの線はどうか?」この辺は画きながら、自分の主張と相談するしかない。僕はその辺りは問わない。それは作家の画き込みの問題だから。
 「孤舟」に注目したい。
 おそらく、富樫はるかの万感の思いがあると思う。だが、あまりに簡単に処理しすぎた。「画きたいから画いた」、になってしまった。より薄くするかとか、より鮮明にするかとか、よりリアルにするか、という問題ではない。何故この舟を画きたいかが、作品に載り移っていない。画家自身が己の意志や情動を問うていない。そんな画き方だ。
 この舟は全てを決定しかねない重要な要素だ。あえて軽く簡単に書いたのだろう。軽さは構わない。画く心が軽かった。そういう意味で、舟は心地良い緊張感をうるかせてしまった。難しきかな「孤舟」よ。


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          ↑:伊藤洋子(札幌)、「運河の街の記憶」・P80 97×145.5㎝。

 朝まだきと思いたくなる街の風景を描く伊藤洋子。
 なぜ「朝まだき」かというと、そこには人がいないからだ。「人」という息吹・生命感・存在感を不問にしたいのだろう。それらは画家にとって、「記憶」を画くには余計なのだろう。そして結果的には画家の描く風景には寒々感が付きまとう。今作も基本的には同じだ。だが、「客船」という生き物を入れて、空気が少しなごんだように感じる。どこかしら可愛い表情の船でもある。色もほんのりと明るい感じだ。
 それは画家にとっての「人間回復」なのか?


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 次はB室です。


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     ↑:左側  前田健浩(札幌)、「浮遊実験」・F100。
      右側  上田ともこ(熊本)、「昼下がりの街角」・F100 162×130㎝。

 共に描写力が高い。しかも二つ並んで展示されると、なかなかの存在感だ。ただ、絵を見ているというより、映像のワン・シーンのよう。絵画のライバルは、今や写真ではなく映像にあるようだ。画家の眼が映像的と言うことか。それは、写実を虚実として提示しているような錯覚を覚える。 



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          ↑:駒澤千波(札幌)、「ピニッシモ」・F100 162×130㎝。

 暗い世界に拘りを持つ駒澤千波だが、今作は黒を意図的に止めたようだ。動物の風情もごく普通で、あくまでも色燦々で勝負だ。この人には多色がよく似合う。静かな七色の世界だ。
 さて、「精神的な暗き闇」と、「色が彩なす音楽」、どう和していくのだろう?


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          ↑:北口さつき(札幌)、「はだか」・116×180㎝ (F50 2枚分)。

1561)①「北の日本画展 第26回」 時計台 終了5月16日(月)~5月21日(土)  _f0126829_2321038.jpg 立てば八頭身であろう。背の高い人だ。座っていることによって、背の高さを自然に想像されて、立っている絵以上に大きく見える。だから、大きな絵だ。
 「はだか」というタイトル、ハッとさせられた。「裸婦」ではない、「はだか」だ。






 次はA室。

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          ↑:朝地信介(札幌)、ともに「内と外のはざま」・S100 F100。

 再び朝地信介がおかしな絵を持ってきた。彼に何かと質問すれば、「実験ですよ」と応えるだろう。実験画家・朝地信介の本領発揮だ。
 何を実験しているのだろう?一応は、ま~るくてフックラした造形研究なのだろう?そんなことよりも、どこか見る人に笑ってもらいたそうで、画家のサービス精神満点な所が良い。もちろん、その訳の分からぬま~るくてフックラしたそいつが憎めない。



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          ↑:高橋潤(釧路)、「「二人で一個」・S100 160×160㎝。

 はい、普通に幸せ気分にさせてもらいました。ありがとう。
 いつも同じ女性を画いている高橋潤。モデルは奥さんかもしれない。少し漫画的な可愛い顔が、絵画としては物足りなかった。今回は普通の表情だ。年々上手くなる高橋潤である。
 タイトルも泣かせる、「二人で一個」だ。「世界は二人のためにある」を軽く表現している。余りに文学的で気分満点の作だ。素敵なカップルに乾杯をしよう。男の小さなロマンにも。



 やはり、もう少し載せたいところです。余裕があれば②の続編です。


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by sakaidoori | 2011-05-22 23:43 | 時計台


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