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栄通記

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2011年 01月 19日

1435)「吉田英子 "being" 展」・さいとう 1月18日(火)~1月23日(日)


○ 吉田英子 "being" 展 


 会場:さいとうギャラリー
     中央区南1条西3丁目1
      ラ・ガレリア5階
      (北東角地。
      1階が日産のショールーム。)
     電話(011)222-3698

 会期:2011年1月18日(火)~1月23日(日)
 時間:10:30~18:30
     (最終日は、~17:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーー(1.18)

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     ↑:(入り口から正面に向かっての会場風景。)


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     ↑:(入り口から右側方向の会場風景。)


 ドアを挟んで左右の部屋は若干ムードを異にしている。壁面作品の部屋と、軽いインスタレーション風の部屋と言えばいいのか。さりとて両部屋とも強い主張ではない。何を描くでもなく、何を置くでもなく、空気感を作るといえば聞こえはいいが、どんな空気?ドアで区切られた二つの部屋、ドアは何を離し何を繋ぐの?

 僕は思う。どこか禅問答的な回路による涅槃を夢みているみたいだ。この部屋全体が浄土教の庭園なのだろう。作者は京都の出身だ。経歴を見なくとも、話し言葉でわかる。京都美学ーそれは日本伝統文化の骨格ーを体質的に持っていて、そこからの視覚主張だろう。
 展示の個々の作品の素材は廃品がほとんどだ。だが、廃品を生で晒すことを吉田英子さんは欲しない。それは野暮というもので、廃品の痕跡を残しながら、汚くない程度にぞんざいに薄く色を塗る。板材の薄い茶色は泥で塗られているという。それは泥のなまっぽさを出すと言うよりも、漆喰風の壁に見立てたいのだろう。廃品に手を加えて人工物にし、「壁」という象徴性を持たせて主義主張の窓口にする、それが吉田英子女史が貫いている美術方法だろう。

 「廃物→人工物→象徴物→?」、さて「?」にどんな言葉を入れたらいいのだろう?タイトルは「being」、「存在、本質・・神」か。有り体に言えば、廃物が存在物に生まれ変わったということだろう。言葉で解釈すれば、本展の作家の意図はそう言って大きな間違いはないだろう。だが、美術(個展)は解釈ではない。それは一部でしかない。イメージ、視覚価値感(ゲシュタルト)を訴え、見る者に何がしかの世界を共有することにある。問題は吉田美学はそれに成功したかどうかだろう。

 門越しに見える向こうの世界。何かが置かれている。もしそれを移動したらどんな変化が生まれるのだろう?何かを置く、あるいは何かを消すと言うことで、見えない物を視覚化しようとしているみたい。それは伝統的な日本装飾美学・構成美学に通じる。それは北海道のボリューム感とは異にする。いつもいつも雪を見て生まれた量塊感だ。
 だが、その薄い色調は北海道に住んでの影響かもしれない。


 淡く薄い吉田美学。だが決して弱くはない。信念の板塀であり、廃材の立ち姿だ。


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by sakaidoori | 2011-01-19 18:01 | さいとう


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