2011年 01月 09日

1421)終了「西辻恵三・展」 12月1日(火)~12月5日(日)

○ 西辻恵三・展


 会場:市立小樽美術館・3F市民ギャラリー
     小樽市色内1丁目9番5号
     (小樽駅から5分ほど運河方面に)  
     電話(0134)34-0035

 会期:2010年12月1日(火)~12月5日(日) 
 時間:10:00~18:00
    (最終日は、~17:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーー(12.5)

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 6,7年前の小樽雪祭りの時に、この会場で西辻恵三・展を見た。
 その頃は絵の見始めの頃で、見るもの全てが初物で楽しくてしようがなかった。展覧会は油彩大作の回顧展だったので、広い会場で堂々と発表する姿勢に迫力と気合いを感じた。西辻氏は仕事を辞められて、ますます絵画制作に励む為の個展であった。今までの作品を一望に展示してこれからの励みにしようというものだ。

 そして今展も回顧展だ。その時からの制作作品を観覧する為のミニ回顧展である。
 だから、札幌の時計台ギャラリーでの個展で既に発表した作品が大半である。そういう意味では初物を見る新鮮さには欠けるが、ある期間の創作のスタンスなり流れを楽しむにはいいものだ。それに、僕には多くの勉強をさせてもらった前回の回顧展であった。絵画鑑賞の一つの原点になった。今でもその時の作品はよく覚えている。自分にとっての回顧の意味で会場をゆっくりと歩いた。


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          ↑:「古代人 ー牛とー」。


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          ↑:「黒の人物 ー牛とー」。


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 ↑:左から、「黒の存在」、「男と女と林檎」、「マリオネットのように」。


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 ↑:「黒の存在」、「黒の気配」。


 (以下、敬称は省略させて頂きます。)

 何を描くかははっきりしている。黒、人、月(丸)、牛であり、それらはもともと好きな人だった。その要素が宇宙での西辻風「織り姫・彦星物語」へとまとまりつつある。表現主義的にバイタリティック筆を走らせる事から、よりロマンティックになった。ロマンはもっともっとセクシャルになりたそうだ。人型の腰の辺りのボディーラインはまさしく女だ。照明に当たる丸みのあるふっくら感は僕好みだ。
 ロマンやセクシャルさが強くなると、ポエム(詩情)が強く出てくるものだが、それは薄い。「存在」するものへの愛の強さ、「存在感」という縛りが絵画の基本になっているからだろう。しかも、「存在」に対して優しく迫るから、画題の一つ一つの関係性がとても安定している。ヒューマンなロマンや存在感が西辻絵画の生命力だ。

 「マリオネット」という作品がある。それは同名の三岸作品からのものであり、好太郎へのオマージュだろう。
そして、三岸絵画には抜群の詩情ある。
 三岸好太郎、女の好きな男であった。妻に対して愛人との「関係を、「愛」と「恋」との違いで説明していた。手前勝手なものだが、女好きの男とはそういうものだろう。つまり、関係性の矛盾が矛盾としてでなく両立している。彼の詩情は対象への強い愛を前提にしているが、存在への揺らぎを同時に妊んでいる。矛盾を描いてはいないが、絵画的矛盾なり動き、対立が通奏低音になっていて、見る目を刺激する。
 それは「恋に恋する男」の破綻の種であったかもしれない。

 西辻恵三は矛盾の人ではない。格闘の人というべきだろう。自身の中の極端に進みたがるエネルギーを、絵画という約束事といかに両立させるかに格闘している。画題に悩み少なき故に、画題を包む背景(空間処理)と格闘している。
 墨絵なり日本画風のあっさりした単調さも嫌いではないが、それではエネルギーの発露には向いていない。粗いタッチで覆うのは余りに工夫が無さ過ぎる。
 油彩らしく、薄い重ね塗りで黒の深みをにじまそうか?
 黒は好きだが、いろんな色を乱舞させたい。そんな浮気心が頭をもたげる。色も好きな人なのだ。いっそ、暗闇の宇宙の見えざる七変化にしてしまおうか?え~い面倒だ、と思ってリフレッシュに構成的抽象絵画を描いたりもしている。それは今展に出品したが、いままでの個展では見せてはいない。表現の中心では無いからだろう。

 描きたい事は決まっている。だが、「空間」がまだ煮詰まってはいない。煮詰める格闘途上の「西辻恵三・ミニ回顧展」であった。

 

by sakaidoori | 2011-01-09 18:19 | ☆小樽美術館 市民ギャラリー | Comments(0)


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