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栄通記

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2010年 03月 03日

1215) たぴお 「切り絵2人展  古田千亜紀 と 工藤エリコ」 3月1日(月)~3月6日(土)

○ 切り絵2人展
    古田千亜紀工藤エリコ


 会場:ギャラリーたぴお
    中央区北2条西2丁目・道特会館1F
    (中通りの西側の郵便局のあるビル。)
    電話・林(090)7050-3753

 会期:2010年3月1日(月)~3月6日(土)
 休み:日曜日
 時間:11:00~19:00

ーーーーーーーーーーーーー(3・2)

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 切り絵2人展ですが、工藤エリコさんを中心に書きます。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)

 今回の工藤エリコは面白い。
 彼女の画題はアイヌ木彫り調で、花柄模様と重なりどこか民芸品的なところがある。装飾が激しく増殖するのかなと思ったりする時もあるが、画家の性格なのか切り絵の規制力なのか、綺麗に枠に収めがちだ。安全な世界での切り絵の美・・・。
 基本的には今回の作品もその延長上だと思うが、見せ方とわずかな画題の変化は、いままでにない空間を作った。それは画家の自己規制力をこじ開けるキッカケになるかもしれない。
 楽しんだことを箇条書きに書いておきます。

 ・3点の楽しみの一つめ。

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 三作の小品。
 小さい世界に細かく切り込んでの作品。僕は細やかな世界での増殖、あるいは装飾過多が好きなので、こういう作品があると直ぐに飛びつく。細かいから大変ではないかと作家に尋ねた。作業自体は全然難しくないという。ただただ切っていけばいいのだからと。紙質によっては細かく切れなくて、こういう作品の大きさには限界があるそうだ。
 それでは何が難しいかと尋ねたところ、切る部分と切らない部分(白と黒)のバランスとのことだ。いわゆる絵画造形・ボリュームの世界だ。

 僕は切り絵の問題の一つに、「線」の問題があると思う。線(ライン)自体のオリジナルで、「流れるような線」とか、「角張った力強い線」という、線の持つ自己主張だ。それと、特に形態の外と内の輪郭をどう表現するかに関心を持って見ている。
 切り絵はデジタル的で全か無かだ。線が命だが濃淡がない。濃淡のない線なのに、作品としてどういう濃淡を作るか?その表現方法の一つに輪郭部分でのせめぎ合いに着目している。

 上の小品、外皮の輪郭部分は装飾過剰だ。いわゆる「嘘」の世界だ。内部の生命力、妖艶力を外に発散している。それをビシッと黒が包む。


 ・3つの楽しみの二つめ。

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 ひょうんなことから作品を宙づりにしたもの。影ができて立体的だ。切り絵のデジタルさがアナログに変化した。何を描いているかどはどうでもよくて、「光と闇」、「裏と表」、「白と黒からぼやけた世界」へと心がいく。
 全体で「夕闇、森の中での男女の戯れ」になるのか。画題は定番だが、その定番さが普通に影を楽しむ効果になっている。

 今作は「影」を意識した作品ではない。この効果に作家は驚いたことだろう。「空中に吊す」、いまでは当たり前の表現方法の一つではあるが、やはり「コロンブスの卵」だ。
 次は、いろんな展示を前提にした作品を手がけるわけだ。そのことが、大胆に画風を変えるかもしれない。失敗するかもしれない。その失敗を見たいものだ。


 ・3点の楽しみの三つめ。

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 両者とも円いおしりの部分がなんとも可愛い。お尻はただのラインで、装飾不能だ。他の部分の意欲に反して、ポロッと切り絵の切り口がにでてしまった。


◎ 古田千亜紀の場合。簡単に写真だけ載せます。

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 ハンモッグ風の吊り物に切れ目を入れて鱗模様になっている。この立体作品に、訪問者が作った折り紙作品を貼り合わせていくわけだ。いわゆる、鑑賞者参加型作品。

 工藤エリコが「絵」にこだわるのとは違い、古田千亜紀は一気に遊び心から入る。この大胆さが若さだろう。


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 小品。「何かを描く」というよりも、イメージなりムードを表現したい作家のようだ。


 全然違う二人の切り絵、今週の土曜日まで。

by sakaidoori | 2010-03-03 17:09 | たぴお


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