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栄通記

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2010年 02月 27日

1211) ①アトリエムラ 「第4回企画展 [Three Pairs !]」 11月1日(日)~2010年3月5日(金)

○    ~第4回 特別記念企画~

   Three Pairs !]

 会場:アトリエムラギャラリー <札幌>
    中央区南13条西11丁目2-12
    (宮越屋珈琲石山通店の横を入る。
     狭い仲通の北側の民家風のモダンな建物。 
     駐車場3台有。)
    電話(011)590-0050 
 
 会期:2009年11月1日(日)~2010年3月5日(金)
 休み:火曜日、第4水・木曜日
 冬期休館:2009年12月22日~2010年1月9日(土)    
 時間:10:00~19:00
     (最終日は、~17:00まで)
 注意 ⇒ 次回企画展より、定休日と開館時間が変更になります

 【参加作家】
 阿部典英・阿部美智子  三木俊二・かとうかずみ  平野尚幹・品田かなた
 
ーーーーーーーーーーー(2・26)

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 3組男女のペアー展。
 阿部夫婦、三木夫婦。平野・品田組は?若い二人です。どういう関係かは想像で楽しみましょう。
 その男女の味、ベテランの味、若手の味、男の味、女の味、道内・道外の味と、いろんな人の味の組み合わせをを企画者は用意したようです。たったの6名なのに意欲満点の企画者です。

 さて、わずか6名と言っても、個人的趣味のブログ紹介となると公平対等にはできません。見慣れない人中心にいきましょう。


◎ 平野尚幹(なおき)の場合

   1984年 新潟県生まれ
   2007年 東京造形大学彫刻専攻・卒業
   2009年  同大学造形研究科修了

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     ↑:「水面への畏怖」・鉄 鉱物油 2009年 1100×900×500㎜。

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     ↑:「嘘の花」・鉄 2009年 800×900×800㎜。「陽の境界」・鉄 珊瑚 2009年 500×500×500㎜。

 会場中央の「くたびれた犬」が目を惹く。犬をあざ笑うかのような「逆さのアヤメ」、「カラス」がそれらを見守っている。象徴的なタイトルと合わせて、一編の無言劇のようだ。その無言劇、僕には冷ややかな優しき傍観者の空気を感じる。
 確かに、「犬」の姿は痛々しい。「それでも生きている、生きねばならぬ」という叫びにも似た苦吟が聞こえてきそうだ。部分部分の表現はリアルで凄みがある。だが、全体が円くて循環運動を起こしそうで、心地良い動きと優しさも感じる。
 しかし、「吊されたアヤメ」はのっぺらぼうだ。僕はこのアヤメが自画像に思える。タイトルは「嘘の花」、「嘘」さというリアルはなく、ただそこにぶら下がっている。そこが僕には傍観者の位置に見える。
 「花」を自画像に見るか、「犬」を自画像に見るかによって、この無言劇の展開は変わるだろう。両者を自画の裏表と見れないことはない。その場合、カラスが和解の象徴になるのだろう。だが、それでは物語が平板過ぎる。
 作家はもっともっと苦しまなければいけない。既にそれなりの技術の持ち主だ。1984年生まれだから、制作時は25歳位だ。眩しいくらいの若さだ。安易な解決は不要だろう。解を求めすぎる気がする。


◎ かとうかずみの場合

   1950年 京都生まれ
   1974年 愛知県立芸術大学絵画科卒業
   1976年  同大学・大学院修了
             多数の海外旅行経験の持ち主。

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     ↑:おおむね左から、「かぐわしき朝の」・油彩 キャンバス(以下同じ)、「しばしがほどたたずむ」、「ふきかよう風のまにまに」(一番の大作)、「こえさやけくきこゆ」、「ほがらしにしろを」。


 これは抜群に面白い。味わい深く、興味尽きない作品だ。
 異様に真っ白に塗られたキャンバス、役者の化粧顔の出発点みたい。その縁取り部分だけに作家は気分良く模様を描き込む、ただそれだけの油彩画だ。若い女学生の気楽な出品作品と間違えそうだ。
 朝カーテンを一気に開ける。白い光が射し込む。画家には光や風景が色と音楽になって飛び込むのだろう。「さー、ここから1日が始まる。何を描こう。白地を描いちゃった。気分を縁に描いちゃった。あー、これ以上キャンバスに描くのはもったいない。見る人よ!後は貴方が好きに描いて下さい」
 作家からの優しきメッセージだ。

 それにしても女性は怖いとつくづく思った。何のてらいもなく、スポンと「心」という器を広げる時がある。この作品には何の悩みも感じない。それでは作家が日々ノーテンキに夢うつつに生きているかというと、そうではないだろう。外面は普通の女性だろう。だが、芸術においてあたかもご自身が「無垢の存在」として振る舞える。それを見る僕は何の違和感もない。なかなか男にはそれができない技である。

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◎ 品田かなたの場合

  1983年 新潟県生まれ
  2007年 東京造形大学彫刻専攻・卒業


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 彫刻科を専攻したのに、壁面作家にいち早く転向?のようです。そうはいっても、作品は赤を基調にしているし、モザイク状でもあるから、作家には立体として見えているのかもしれない。かつての「立体主義」の現代版などと共通するのかどうか?タイトルから画家の気持ちを推し量れば、「色」を知り、「心象」を写し、「記憶」をつむぐ、そんな感じでしょうか。

 おそらく心の中の「物語」が膨らんできて、一個一個の立体作品では追っつかなくなったのでしょう。一つの作品に思いを閉じこめるのではなく、生まれては消えるかもしれない「痕跡」を一つでも多く描き残したいのでしょう。今は「赤」と勝負の画家の姿です。いつかはこのモザイクに円も形も登場するのでしょう。
 会場にはドローイング集もあります。若い人には好まれると思う。ウサギのシリーズがお気に入りでした。
 こういう作家は、流れを不定期的に見つめていくと、もっと楽しめると思う。



 長い会期なのに、残りはたったの2週間。長い会期は必ず遅く行くという悪い性癖、ようやく昨日の訪問です。
 ですが、2週間の展覧会と思えば、遅い紹介でも早い紹介と言えなくもありません。見て損のない企画展です、是非是非・・・。
 (残り3人、会期内に会場風景だけでも載せたいと思っています。)

by sakaidoori | 2010-02-27 11:44 | (カフェ)アトリエムラ


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