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栄通記

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2009年 12月 13日

1121) 小樽旧手宮線跡地 「2009年 小樽・鉄路・写真展」 終了・8月31日(月)~9月13日(日)

○ 2009年 小樽・鉄路・写真展

 会場:小樽旧手宮線跡地
   小樽市色内2丁目マリンホール裏

 会期:2009年8月31日(月)~9月13日(日)
 時間:24時間屋外展示・当然無休
     (最終日は~17:00まで。)

 主催:小樽・鉄路・写真展実行委員会
 協賛:(有)石崎電気商会

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(9・11)

 3ヶ月前に終わった写真展です。
 屋外での展覧会は普段とは違った味があります。その日の天気も体にしみ込んでいて、撮影者と交わしたフンワカした時間が懐かしいものです。

 今展を見るのは一昨年来の2回目。前回は「にぎにぎしい」という印象。今回は何となく全体がまとまっている。一人一人というか、各コーナーの主張がはっきりしていて、見やすかった。例によってダラダラと黄昏まで時間をつぶしたのですが、秋を感じさせるヒンヤリ感を今でも覚えています。

 簡単に載せていきます。まずは全体風景から。
 もっとも、この展覧会は全体風景が写真にならなければ、良い展覧会とはいえないでしょう。

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     (↑:右側の背の高い方は写真家のウリュウユウキさん。札幌の写真展では、この人ありといえる若手の存在。「歩く写真大好き人間」です。ご自身の写真表現の追及は当然ですが、写真による人と人との関係作りでも働いています。非常にエネルギッシュです。それは育ちが道外だからでしょうか?外から来た人間だからこそ、今住む所の意味を問うているのかもしれません。)

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     (↑:手前の写真館風壁紙色の展示が、そのウリュウユウキ・作。低い高さは「しゃがんで見よ」という工夫です。左の小物ケースは資料集。雨に濡れても見てもらいたいという配慮。彼の小さな親切的気配りを、僕は愛するものです。)

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     (↑:「いらっしゃい、いらっしゃい、写真だよ、見てね、足を止めてね・・・」まるで、写真商の露天販売みたい。だから人混みの写真も撮りたいし載せたいのです。ここに楽しそうな人だかりを想像して下さい。)

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     (↑:雨にも負けず、風にも負けず、台風にも負けなかった写真君たちです。この屋外展覧会の名物のようなところでしょう。参加者名々の小樽の切り取りです。一枚一枚をあれこれ言ってもダメなんです。この風雪に耐えている姿?を見てあげましょう。
 そうは言ってもなかなか一枚一枚が楽しめた。特に選んだわけではありませんが、2作品だけ下に載せます。)

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     (↑:彼女は難しい顔で何を見ているのでしょう。)


 全体の中で、今展のお気に入りを作品群が下の2点です。

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     ↑:藤川弘毅。

 チョッといかつそうな意匠ですが、意匠と鉄路とのマッチング、他の作品群との異質感が、きちっとした存在感を示しています。
 何より写真が素晴らしい。まるでテレビ・ドラマのワンシーンのよう。
 見られること、撮られることが普通のような現代若者気質を的確に撮っています。
 それにしても若い女性の生き生きした表情、長靴?ルックも良いではないですか。バックの工事現場のネッチャンが「私も入れて」と、自然に仲間入りしたみたい。
 羨ましき若者群像です。いわゆる「不ぞろいの写真家たち」です。


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     ↑:?:「SAPPOR」。

 (撮影者は女性です。お名前は後ほど明記します。)
 他にも「フラノ」とかのシリーズを撮っていますが、このシリーズのほうが抜群に面白い。
 彼女自身が都会っ子だと思うのです。札幌という都市を自分好みに切り取っている。赤茶けた大正ロマン、ベタっとした粘着質は独特だ。被写体そのものは現場なのだが、現場のリアル感が喪失されて、作り変えている。それは都市だからできる写真の可能性だと思う。都市の持つ楽しさや嘘さ加減が、撮影者には興奮の対象なのだろう。

 男は都会の持つ傲慢さを暴くことに快感があるようだ。特に評論家とか批判家と言われる文章家達は。他者の目だ。
 女は内に入って、虚飾それ自体を楽しんでいるようだ。「都市の傲慢さ?暴力?そんなの当たり前ジャン。だからどうしたの?」

 都市の持つ怪しげさは「性」がもっとも顕わだろう。彼女もそこんところをもっと表現したそうなのだが、少し遠慮がちだ。ここが「公共の場」だからかもしれない。自己規制が働いたのだろう。
 だが、その「ちょっとセクシャル」さは充分に見れる。「もちょっとセクシャル」をみたいものだ。都会の喧騒さや嘘さ淫らさ、それらが写真の中で踊りだすのを、彼女のカメラは追いたいだろう。
 「何となくアンバランス」な撮影者だ。ジャズの弱強弱強のずれたテンポを思い出してしった。まとまりの良くない、変な個展を開いて欲しい。



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 お祭りムード的な展覧会ですが、しっかりした作品が多かった。テンションの高い展覧会だった。
 こういう展覧会は参加者が多い。全体風景も沢山載せたい。「栄通記」に書くには手に余すところがあるのが不本意です。

 それでは来年会いましょう。早めに行こう。
 

by sakaidoori | 2009-12-13 10:44 | ☆小樽美術館 市民ギャラリー


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