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栄通記

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2009年 02月 03日

881)①大阪市・AD&A 「谷口顕一郎・Hecomi Study #15」 終了・1月9日(金)~1月23日(金)

○ 大阪・ハンブルグ友好都市提携20周年 
    谷口顕一郎  Hecomi Study #15
  
 会場:AD&A gallery
     大阪府大阪市西区京町堀1-6-12 
     電話(06)6443-3300
 会期:2009年1月9日(金)~1月23日(金)
 休み:木曜日(定休日)
 時間:?:00~20:00

 主催:日独文化交流実行委員会
   
ーーーーーーーーーーーーーー(1・20)

 大阪に見に行った。

 昨年、彼は現住所のドイツで個展をした。その為の図録をテンポラリーで年末に見た。
 かなりの広さの道路の傷をトレースして、薄くて黄色いプラスチックに転写する。それらを切り刻んで蝶番でつなぎ、いろいろと折りたたんで立体作品として仕上げたものだ。宙にぶら下げらていた。その作品が今回の作品でもある。
 親しく彼の作品に接しているから、図録で見てもおおよその見当は付いた。だが、印刷物ではあっても彼のエネルギー、情熱がはちきらんばかりだ。同時に抑制の美学とユーモラスのさまは若き作家の記念碑的なものであることは間違い、「これは現物を見ておかなくてはいけない」。
 「ついでがあったら見に来てください」と彼の笑い顔を勝手に描いてしまった。そして、本当についでに北九州の実家に帰省する事になった。


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     (↑:拡大率は違いますが、左右を引っ付けて一つの作品として見て下さい。)


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 午後4時前に現地に到着。JR大阪駅近くの北進一方通行の4車線以上の道路を左にひょいと入る、車一台しか通れない中小路だ。直ぐの所にギャラリーがある。
 外から見ると細長くて窮屈な感じ。だが、ギャラリー専用の建物で、作品以外のものは何一つ無い。外からでもわずかに中の様子が伺える。
 1階がメイン会場、高さをゆったりと取っている(上の写真)。この会場に負けないだけの作品を並べることは大変だ。大作でなければならない。そこにただ一点だけ大きく伸びやかに作品が吊るされている。壁には装飾的にヨーロッパの凹みがマップ風に貼られている。

 作品自体は恐竜の標本に見えるが、見え方は人それぞれで楽しめばいいのだ。
 実のところ、この立体造形が美術的に良いのかどうかは僕には分からない。
 かつて見た手の平サイズの小さな凹み作品が、子供があれやこれやと手にとって遊ぶ付録のおもちゃのような作品が、いったいこの青年は何を考えているんだと僕を悩ました作品が、これほどまでに大きく変貌したことに驚く。しかも、この素材の中には都市の時空が埋め込まれている。それを遊び心で徘徊し、嫌味無く人の歴史や自然との関係に思いを抱かせ、しかも何より作家自身の笑い声が聞こえてきそうだ。
 作品を背にした時、蝶番をしなやかに動かしながら、それらが優しく襲ってきそうな錯覚を覚える。
 谷口顕一郎、トリックスター的怪しげな振る舞いをする人である。

 人は社会的存在だ。だから芸術家が社会を表現することはあたりまえだし、その独自の感性が社会の矛盾に気付き視覚表現として提言することもあるだろう。だが、芸術家の社会性ほど妖しげなものはない。彼の内発的な行為、その結果としての作品の作家の意図が多くの人に認知される時代ではない。作品の中の社会性は限られた仲間同士で認められる以上のものではない。
 現在の芸術家の難しさはどこまで徹底的に個人として行動できるか、これに尽きると思う。

 作家は社会性をより強めている。個人としての発散するエネルギーがどこまでその社会性と調和可能なのだろう?危険で楽しい綱渡りをする人だ。 もっともっと高いところで、もっともっと細い道の上で踊りながら渡って欲しい。この作品群はその始まりでしかない。


 (2階の展示風景は②に続く。)

by sakaidoori | 2009-02-03 12:52 | 【道外・関西】


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