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栄通記

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2008年 12月 28日

867) ②茶廊法邑 「SAG INTRODUCTION」 12月20日(土)~12月29日(月)

○ 札幌アーティストギャラリー作品展 (2会場)
     SAG INTRODUCTION

① 会場:茶廊法邑
    東区本町1条1丁目8-27
    電話(011)785-3607
 期間:2008年12月20日(土)~12月29日(月)
 休み:23日(火)
 時間:10:00~18:00
     (最終日は、17:00まで)

② 会場:品品法邑(2階)

 企画:法邑芸術文化振興会

 【出品作家】
 (茶房法邑のみ) 大井敏恭 笠見康大 小林麻美 林亨 山本雄基 LESLEY-TANNAHILL 

ーーーーーーーーーーーーーーーー(12・27)

○ 林亨 の場合。

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 ↑:林亨、「心を浮かべて」・1630×1300mm。

 実にざっくばらんです。驚いてしまいました。ポロック風の色や線が踊りこむような絵ばかりを見てきました。なのに今回の変わりよう・・・。
 ポロックが「狂」的と言えるならば、林絵画は雅な濃密な世界です。似て非なるものです。更にポロックの激しい生き様は絵と不可分なところがある。林さんはどこか日本の伝統的美学を引きずりながら、「絵画の可能性」という知的探求の場としても絵画があるようです。だから、どうしても実験的側面の強い絵がポーンと出て来ます。今作が正にそれでしょう。

 絵の濃密な装飾性を後退させて、白壁を意識した浮遊感や立体感そのものを見せています。この浮遊感は林さんの基本モードです。韓紙に描かれた作品を空中に浮かべたこともあります。林絵画は抽象ですが、描かれた模様自体が浮き沈みしていて、捉えどころの無さがあります。
 林さんが目をつぶれば青色の世界なのでしょう。青に沈殿する世界を軽く妖しく何かが漂っているのでしょう。そのことを絵画化したいのでしょうか?それは絵画の探求の道標であって、その先に彼の思い悩む「絵画の可能性」があるのでしょう。


山本雄基 の場合。


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  ↑:山本雄基。大作(1455×1455)の部分図。タイトルは全て「みえないみえる」。

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  ↑:ともに450×450mm。

 山本君は円が好きだ。おそらく彼が選んだ理想の姿がこの形にはあるのだろう。作品のサイズも真四角。実に几帳面な完全形ばかりをバックボーンにしている。技法は分からないが、その円を並べては透明材で覆い、その上に再び円を並べては透明材で覆う、と言った感じで作品は見える。透明な世界に円が何層かにわたって重なり合い、色としては交じり合うこと無くしっかりと自己主張している。薄いプラスチックが埋め込まれていると言ったほうが分かりやすい。

 理想形とは決して楽しいものではない。意外に絵が窮屈なのだ。だが、山本美学の楽しいところは、どこかユーモラスな臭いがするのだ。あっけらかんさが良い。色の按配、形の重なり具合、試行錯誤の作品傾向などからくるイメージなのかな? 
 完全形に拘る厳しさ、どこまで追求できるのだろう?
 今展の大作、仕上がりの上から白ペンキでの悪戯模様が新工夫か?


笠見雄大 の場合。

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  ↑:左から、「つぶれる風景」・2000×1650mm。「entoptic」・840×1120mm。(「entoptic」とありますが、「entopic」ではないでしょうか?)

 初めて彼の作品を見た時には本当に驚きました。感心したものです。そして、その後の殆んどの作品が同じ印象ばかりで、あまりにも変化が少ないので、ちよっと残念に思っています。今作も同じ世界です。けっしてこの技法に100%満足はしていないと作家自身が思っていると思うのですが、発展性が余りにも無さ過ぎると思う。多情多感なこの時期、もっと突っ込んで実験絵画にチャレンジしてはどうでしょうか。


 ③に続く。

 

by sakaidoori | 2008-12-28 14:01 | (茶房)法邑


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